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ゲーム音楽初「スーパーマリオのテーマ」が“音の遺産”に。米国議会図書館が選出

Image:Nintendo

おそらく、誰もが知っているゲーム音楽のひとつがファミコンゲーム『スーパーマリオブラザーズ』の「地上BGM(Ground Theme)」と呼ばれる曲だろう。この8bitミュージックが、米国議会図書館が選出する「将来にわたって保存すべき米国の録音資料」のひとつに選出された。

この録音資料を集めたリストは「全米録音資料登録簿」と呼ばれ、これまでに累計600の録音作品が登録されてきた。2002年から2005年までは毎年50件、それ以降は毎年25件を選出されている。わかりやすくいえば “音の遺産” だ。

このリストは基本的に、米国の文化・歴史・美的感覚を反映しているため、選出されるのも米国で生み出されたものがほとんど。だが、2003年に選出されたビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」をはじめとして、米国内で人気を博した外国産の音楽なども登録されている。

そして、このほど発表された2023年度の登録作品のなかで特に目をひくのが、これまで登録されたことのないゲーム音楽というジャンルから、スーパーマリオの地上BGMが選出されたという点だ。

1985年にファミコン(米国ではNintendo Entertainment System:NES)用ソフトとして発売されたスーパーマリオブラザーズは、世界中で大ヒットを記録した。当時子どもだった世代なら、ほとんどすべての人がプレイしたことがあるだろう。そしてその地上BGMは、矩形波2音+三角波1音+ノイズ(パーカッション)で構成される単純な4拍子の楽曲でありながら、キャッチーなメロディとジャズ的な凝ったリズムが絡み合い、一本調子な曲が多かった当時のゲーム音楽のなかでも際立って印象に残るものだった。

作曲者である任天堂の近藤浩治氏は、今回の登録に際し、この楽曲はジャズ・フュージョンバンドT-Squareと、ラテン音楽にインスピレーションを得て制作したものだと語った。そして当時のゲーム音楽は、「音楽や効果音に使用できるデータの量が非常に少なかったので、非常に革新的で、当時の音楽やプログラミング面でのアイデアを最大限に活用する必要があった」とその苦労を述べている。

またゲーム内には、ゲームオーバーから再プレイを促すジングルや、ステージクリアなどで流れるファンファーレ、ゲームの時間制限が近づくとテンポアップするといった工夫を凝らしたとのこと。「画面上で起こっていることに合う、あらゆる種類の音楽ジャンルを活用した」と近藤氏はコメントしている。

スーパーマリオブラザーズといえば、現在は映画作品『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が北米で公開されたところであり、公開から5日間の興業収入が2億ドルを超える好成績を記録していることが伝えられている。もちろん、この映画にも地上BGMがアレンジされて使われている。

ちなみに今回、全米録音資料登録簿に登録される他の録音には、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」やマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」といった名曲たち、そしてカール・セーガンが朗読する「ペイル・ブルー・ドット」も含まれている。

ちなみに初年度の登録音源としては、かのトーマス・エジソンが自らの肉声を録音した「Around the World on the Phonograph」(1888年)をはじめ、オーソン・ウェルズが1938年にラジオ放送で朗読した「The War of the Worlds(宇宙戦争)」といった歴史的な録音から、エルヴィス・プレスリー、フランク・シナトラ、レイ・チャールズ、ボブ・ディランといったレジェンドたちの楽曲まで幅広く網羅されている。

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