メタバース部門は昨年、約137億ドルの損失でした

ザッカーバーグ氏は「メタバースではなくAIに集中」とMeta幹部が明かす

Image:Frederic Legrand-COMEO/Shutterstock.com

Facebook、Instagramの親会社Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、現在新しく設置したAI部門に「ほとんどすべての時間を注ぎ込んでいる」と同社CTOのアンドリュー・ボスワース氏が語っている。

社名を “Meta” に変更してまでメタバースに全振りしていたザッカーバーグ氏だが、そのメタバース構築に取り組むReality Labsは、2022年に約137億ドルもの損失を出したと発表していた。

そんなザッカーバーグ氏が、いま使える時間のほとんどをAIに注ぎ込んでいるという話を聞くと、もはやMetaはメタバースを諦めたのか、と一瞬考えてしまいそうだ。しかし、Nikkei Asiaのインタビューにこたえたボスワース氏は、人工知能への取り組みの一部は、メタバースにも有益だと述べている。半ばブームと化している最近のジェネレーティブAIが、湿気たマッチのように火がつかないメタバースの起爆剤になることも期待できるかもしれない。

Metaは2月、InstagramとWhatsApp向けにジェネレーティブAIを開発していることを明らかにしている。このAI部門は最高製品責任者(CPO)のクリス・コックス氏が率いており、テキストを生成したり、絵を描いたり、人間の出力に似た他のメディアを作成したりできる新しい一連の機械学習技術に取り組んでいる。そして “LLaMa” と称する独自のAI言語モデルを開発し、質問に答えたり、ドキュメントを要約する機能に磨きをかけている。

ボスワース氏は、Metaが今年、AIを使った商用アプリケーションをいくつか発表する予定だと述べており、それがもっとも収益性の高い広告ビジネスとの組み合わせで役立つ可能性があるとした。メタバース部門が約137億ドルの損失を出したのは先ほど伝えたとおりだが、同じ年に広告部門は1166億1000万ドルを稼ぎ出している。

また、メタバースにジェネレーティブAI技術を取り込めば、より多くのクリエイターを自社のメタバースに呼び込めるかもしれない。たとえば新しくメタバース空間を構築する際に、これまでは3DCG技術を学び、必要な開発環境を整えてコンテンツの作業にかかる必要があった。しかしAIを活用すれば、初期投資と面倒で時間のかかる学習プロセスをすっ飛ばして、言葉で説明するだけでそれを生成できるようになる可能性がある。

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