すべての人を平等に扱うはずが

Twitter、マスク氏やバイデン大統領などを「VIP」として優先表示か

Image:kovop/Shutterstock.com

Twitterアプリの「おすすめ」(For You)タブには、同社のアルゴリズムにより個人向けにカスタマイズされたおすすめツイートが表示されるはずだが、実際には一部のユーザーのみが偏って登場しがちな印象があった。

それはTwitterが数十もの有名アカウントを秘密のVIPリストに登録しており、優先的に表示しているからだ、との噂が報じられている。

Twitterの内部情報に詳しいメディア・Platformerが入手した社内文書によると、同社はイーロン・マスクCEOのほか約35人のVIPリストを推薦アルゴリズムで「監視し、可視性を高めている」(優先表示している)とのこと。その例としてはNBAのレブロン・ジェームズ選手や米民主党のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員、そして米バイデン大統領などが挙げられている。

Twitterは4月1日から、従来の認証プログラムと認証バッジを段階的に廃止し、今後も青いバッジを付け続けたければ有料プラン「Blue」を使うように呼びかけている。マスク氏は「すべての人を平等に扱う」「有名人に別の基準があってはならない」としていたが、まさに有名人や自分向けに別の基準があったというわけだ。

またマスク氏は、4月15日以降は「おすすめ」タブにBlue加入者のツイート以外は表示しないと予告している。この新たなルールが上記のバイデン大統領や有名YouTuberのMrBeast氏など、Blueに課金していないが、ユーザーの動向に多大な影響を与えそうなアカウントにも及ぶのかどうかは不明である。

このVIPリストは、もともとTwitterのパワーユーザーが受けるエンゲージメントを確認するために作られたものだという。特定のユーザーをシャドウバン(アカウント停止されていないが、他の人に見えにくい状態)されている疑いを払拭するためだったというが、別の目的に転用されたようだ。

マスク氏が自らのツイート閲覧数を後押しするため、Twitterのアルゴリズムに手を加えたとの報告が届けられたのは今回が初めてではない。

先月も「おすすめ」タブにマスク氏のツイートが溢れかえる問題を修正していると発表された直後、マスク氏が自身のツイート閲覧数が激減していることに激怒してトップエンジニアを解雇したとの報道もあった

もしも公約通り、近い将来「おすすめ」タブに有名人を含む無料ユーザーが表示されなくなれば、「おすすめ」が「課金しているだけの一般人」で埋め尽くされかねない。もっともマスク氏はTwitterのアルゴリズムを2月末にオープンソース化すると予告したが3月末に延期するなど、期限を守ったことが稀である。今回も期限を破ったほうが、Twitterにとっては幸いかもしれない。

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