ダイナミックアイランド周りで光漏れの問題あり

サムスン、「iPhone 15」向け有機ELパネルを1ヶ月前倒しで生産開始か

Image:Apple

最新フラグシップiPhone本体の組み立ては7~8月頃に始まり、ディスプレイパネル等の部品は6月頃に量産がスタートするのが恒例である。が、今年秋の「iPhone 15」シリーズ用有機ELパネル製造はサプライヤーの1社が発注から外されたため、予定より1ヶ月早い5月に始まるとのサプライチェーン情報が伝えられている。

韓国の電子業界誌The Elecによると、サムスンディスプレイが製造開始を前倒しするのは、iPhone 15標準モデル用の一部パネルを受注していた中国BOEが「生産上の問題」を抱えているためとのことだ。

具体的には、BOEにはダイナミックアイランド(画面上部にある楕円状スペース)のうち自撮りカメラや各種センサー用に開けられた穴の周辺で光漏れの問題があり、それを解決できないため初期サプライヤーになるチャンスを逃したという。

サムスンもiPhone 15標準モデル用のパネルを供給する予定だったが、その穴埋めをすべく、前倒しで製造を始めることになったそうだ。

中国BOEがiPhone 15標準モデル向け有機ELパネルの初期受注を逃したとの情報は、今月初めにも伝えられていたことだ。当時は「技術的な問題」とされていたが、以前のノッチ(画面上部の切り欠き)とは違ったパンチホール周りの加工が難航しているようだ。

iPhone 15標準モデルとPlusモデルの画面はノッチからダイナミックアイランドに移行しつつも、従来型のLTPS TFT 有機ELパネルが使われると見られている。最大120HzのProMotion(可変リフレッシュレート)や常時表示を実現するLTPO技術は、iPhone 14世代に続いてProモデル専用になるというわけだ。

それは標準モデルとProモデルの間に格差を作る販売戦略である一方で、120Hz/LTPOはサプライチェーンの供給が間に合わないため全モデルに採用したくともできない、とのディスプレイ専門アナリストによる分析もあった

年間出荷台数が2億台以上との推測もあるiPhoneだけに、サムスンやLGディスプレイといった有機ELパネルメーカーの世界最大手がフル操業しても、その全てに最先端の画面を供給することは困難なのだろう。フラッグシップiPhone標準モデルでのディスプレイの進化は、BOEなど新たに加わるサプライヤーの歩留まりがいかに改善するかに掛かっているのかもしれない。

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