ハードウェア開発はリモートと相性が悪いこともあり

アップル、リモートワークの締め付け強化。バッジの記録で出社を追跡か

Image:Uladzik Kryhin/Shutterstock.com

先日、ハイテク大手が軒並み大量にレイオフを続けているなか、アップルが解雇を避けている事情が報じられていた。莫大な資金や飛び抜けて高い収益性があり、何より解雇が企業イメージや社内の士気に悪影響を与える恐れがあるから、とのことだ。

それでも、経費の削減やリモートワークへの締め付けを強化しているとされていた。その続報として、アップルは従業員が少なくとも週に3日は職場に来ていることを確認するため、バッジにより出勤状況を細かく確認しているとの噂が報じられている。

The VergeのZoë Schiffer氏は、アップルがオフィス勤務の条件(週3日)を満たさない場合は「エスカレートする(勤務日を増やす)よう警告」しているとツイート。またアップルの一部部署では、この警告に従わない場合は解雇につながる可能性があると言われているものの、それが「会社全体の方針ではないようだ」とも付け加えている。

他のハイテク大手と同じく、アップルも新型コロナ禍の拡大を受けてリモートワークに移行した。しかし感染者数が減っていくにつれて方針も変更され、ほぼ1年前には徐々にオフィス勤務日を増やす「ハイブリッド」にシフトしている。まず週1日から始まり、やがて2日に拡大され、昨年9月の時点では少なくとも週3日の出勤を求めていると報じられていた。

また今年1月にはさらに要件を緩め、出勤前の感染検査を求めなくなっている。それだけオフィス勤務へのハードルを下げ、リモートワークを減らすよう圧を掛けているようだ。

こうしたリモートワークから職場に復帰させる方針は、社内でも少なからず反発を買っていると伝えられてきた。その中でも最大の出来事は、機械学習担当ディレクターだったIan Goodfellow氏が退社したことだろう。Goodfellow氏はAIアルゴリズムGAN(敵対的生成ネットワーク)の生みの親であり、6年以上もGoogleに勤務していた重要人物である。

アップルの主軸であるハードウェア開発は、必要な機材が社外には置きにくく、大人数で共同作業をする上でも、また守秘義務の点からもリモートワークになじみにくい。そのため、新型コロナ禍がピークだった2021年頃には新製品の開発が遅れているとの噂も相次いでいた。生産性を上げるためにも、オフィス勤務を求める圧力は今後も高めていくことになりそうだ。

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