とはいえ飲めば痩せるわけではない

血中カフェイン濃度が高いと、体重や2型糖尿病リスクが低下する可能性ありとの研究報告

Image:Africa Studio/Shutterstock

カフェインはコーヒーや緑茶、紅茶、ウーロン茶に多く含まれるほか、コーラやエナジードリンクなどにも配合されている。そしてその健康面への効果については長年研究されてきた。

今回新たに、カフェイン代謝に関連する遺伝子を分析することで、血中カフェインの濃度が体脂肪や2型糖尿病、心血管疾患のリスクにどう影響するかを調べた研究結果が報告された。

飲み物における一般的なカフェイン含有量は、コーヒー1杯(約250ml)に対して70~150mg、同じくカフェイン入りのソフトドリンク1缶(約350ml)には30~40mg、紅茶や緑茶は1杯(約250ml)あたり30~50mgというのが一般的な数字だ。

これまで小規模かつ短期間の試験では、カフェイン摂取が体格指数(BMI)と脂肪量を減らすと報告されているが、長期的に摂取し続けた場合の効果は定かではない。また他の研究では、毎日3~5杯のコーヒーを飲み続けることで、2型糖尿病や心血管疾患リスクが低下したとの報告もあるが、ほとんどの研究ではカフェイン摂取と疾病の因果関係を立証するには至っていない。

摂取されたカフェインは、主に肝臓で代謝される。しかしこの機能はCYP1A2およびAHRという遺伝子の変異によって影響を受けることがあり、この変異を持つ人の場合はカフェインの代謝に時間がかかるため、平均してコーヒーの摂取量が少ないにもかかわらず、血中カフェイン濃度が高くなる。

今回の研究では、メンデルランダム化解析と呼ばれる手法を用い、上記遺伝子の変異を調べ、血中カフェイン濃度が高い状態に長期間さらされた場合にBMI、2型糖尿病、心血管疾患に因果関係が見られるかどうかを検討した。

研究者らは、欧州出身の祖先を持つ9876人のゲノムワイド関連研究(GWAS)から得られたデータを解析し、CYP1A2およびAHR遺伝子変異が起こす影響を調べた結果、遺伝的に予測される血中カフェイン濃度の高さは、BMIや体脂肪の低さ、2型糖尿病のリスクの低さと関連していることがわかったという。そして糖尿病リスク低下の効果は、主にBMIの低下がもたらしていることも判明した。

一方で、遺伝的に予測できる血中カフェイン濃度の高さと心血管疾患、特に虚血性心疾患、心房細動、心不全、脳卒中との間には有意な関連性を示す証拠は発見できなかった。

研究者らは、研究の結果について、「コーヒーの摂取量と2型糖尿病のリスクとの間の逆相関を、少なくとも部分的にはカフェインが説明する可能性がある」とまとめている。

ただ、今回の試験の参加者は欧州系人種のみであるため、それ以外の地域をルーツとする人々に一般化することはできない可能性があるとも述べている。とはいえ、さまざまな疾患の予防策としてカフェインを摂取することを正当化するものだと考えているという。

なお、コーヒーに良い効果がありそうだからといって、砂糖をたくさん入れた甘いコーヒーを飲み過ぎると、逆に糖分の取り過ぎで糖尿病リスクを高めることになる。特に糖尿病家系の人は、日頃からブラックで飲むか糖質オフの甘味料を使用すべきだろう。

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