火星と地球の気象の違いを知るために重要な観測

夕暮れの火星に「薄明光線」、NASAの探査車キュリオシティが捉えた空模様

Image:NASA/JPL-Caltech/MSSS

NASAは、今日も赤い大地を駆けまわり新たな発見を探しているCuriosityローバーが撮影した、火星の夕暮れ時の写真を公開した。2月2日に撮影されたこの写真には、太陽が地平線に落ちる際に雲の隙間から差し込む光の筋がはっきりと写っている。この光の筋は「薄明光線」、またはラテン語で “黄昏” を意味するクレプスキュラー光線とも呼ばれ、火星でこれほどはっきりと画像に捉えられたのは初めてだという。

この画像は、Curiosityローバーに新たに与えられたミッションの一環として撮影されたものだ。夕暮れ時に火星の雲を観察することで、研究者らがその雲がどのように形成されるかを調べられるのだという。これは、天気や火星の大気の組成と温度、惑星の表面を通過する風の詳細を理解する上で非常に重要だ。

画像に写っている雲は、通常なら高度59km未満にしか現れない火星の他の雲と異なり、それよりも高い位置に発生していると見られる。またその成分は凍った二酸化炭素と考えられ、いわばドライアイスの粒子で構成されている可能性があるとのことだ。

これ以外にもNASAは、1月27日に撮影された、雲間から七色の光が漏れ出るような「遊色効果(イリデッセンス)」を捉えた画像も公開している。

Image:NASA/JPL-Caltech/MSSS

コロラド州ボルダーにある宇宙科学研究所の大気科学者であるマーク・レモン氏は、この画像について「虹色に見えるところは、雲の粒子サイズが、雲の各部分で隣接する粒子と同じであることを意味する。色の変化を見ることで、雲の中で粒子の大きさが変化していることがわかる。それは、雲がどのように進化成長しているか、その粒子が時間とともにどのように大きさを変えているかを教えてくれる」と説明している。

Curiosityローバーは、このクレプスキュラー光線と虹色の雲の画像を、いずれも28枚の画像からなるパノラマとして撮影した。また、画像はいずれもハイライトを強調するように処理加工されている。

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