低価格のためサムスンやLGも興味薄とのこと

「iPhone SE4」の有機ELパネル、中国BOEが生産か。中国政府への配慮も

Image:GVLR/Shutterstock.com

廉価モデルiPhone SEの第4世代モデル、通称「iPhone SE4」がiPhone 14ベース、つまり6.1インチの有機ELディスプレイ搭載で2024年内に発売されるとの予想は、先日もお伝えしたばかりだ。その続報として、中国のディスプレイ最大手BOEが本製品に有機ELパネルを供給するとのサプライチェーン情報が届けられている。

韓国の業界情報誌The Elecによれば、BOEは今年秋の「iPhone 15」シリーズ向け有機ELの初期受注を逃したため、普及モデルiPhone SE4で巻き返しを図るという。数日前、同社はiPhone 15標準モデル向けパネルを供給する予定だったものの、「技術的な問題」から歩留まりが低いため、6月の量産開始には間に合わないと報じられていた

そのBOEが、なぜiPhone SE4の受注を獲得できたのか。それは本製品が新たな(iPhone 15に適合する高水準の)仕様ではなく、iPhone 13やiPhone 14向けの部品在庫を流用するため、有機ELパネルの価格や技術難度も低いためだという。利幅も薄いためか、サムスンやLGディスプレイも興味が薄いとのことだ。

そしてiPhone SE4は、インドなどの新興国市場とiPhoneを初めて使う消費者をターゲットにした、普及型製品であり、中国での売上比率が19%に達するアップルとしても、iPhone SE4向け有機EL発注をBOEに与えることは「中国政府の目を気にせずに済む」とも付け加えられている。つまり部品の中でも大きな比率を占めるディスプレイのコストを抑えつつ、政治的な配慮もできる一石二鳥のようだ。

アップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏は、iPhone SE4の開発が再開され、「6.1インチのiPhone 14のマイナーチェンジ版」となり自社開発の5Gチップが搭載されると予想している。かつてKuo氏はiPhone XRベースと主張していたが、より最近の機種が流用されるようだ。

このKuo氏の発言を受けて、信頼性の高いディスプレイ専門アナリストRoss Young氏は「BOEのパネルを使うと聞いた」とツイートしていた。今回のThe Elec報道により、それが裏付けられた形である。

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