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Valve、人気ゲーム『Dota 2』の不正対策パッチにハニーポット。掛かったチーター4万人以上を永久追放

Image:Valve

インターネットを通じて他のプレイヤーと共に、または敵対して戦うオンラインマルチプレイゲームは、アイテム収集要素であるバトルパスや、実力が近い他のプレイヤーと争い頂点を目指すランクマッチといった要素などもあり、ハマると延々プレイし続けてしまう魅力がある。その反面、自分に有利になるようにソフトウェアを不正に改変し、ルールを無視する不正なチート(Cheat)行為をはたらくプレイヤーがどうしても現れてしまうのが難点だ。

マルチプレイヤー・オンライン・バトルアリーナ(MOBA)と呼ばれるゲームのなかで、『League of Legends(LoL)』と並び、世界中に多数のプレイヤーを抱える『Dota 2』も、長年にわたり不正行為者、いわゆるチーター(Cheater)に悩まされてきた。

そして、Dota 2の開発元であるValveは2月22日に、「Dotaはチート使用者を歓迎しません」と題したブログ記事を公開し、過去数週間に4万人以上のチーターのアカウントを永続的な利用禁止処分にしたことを明らかにした。真面目にゲームをプレイしている人たちは、今回の措置でおかしな動きをみせるプレイヤーの数が少しは減ったと感じているかもしれない。

ブログ記事によると、今回のチーター締め出しの動きは、Valveがあるチートを発見し、それを修正するパッチをリリースしたことが足がかりになったという。このチートは、本来ならプレイヤーがアクセスできない領域に保管してある、相手プレイヤーに関するパラメーターを参照可能にするというものだった。

普通なら、発見した時点でゲーム開発元がそのチートを使えなくする修正パッチを用意し、それを配布しておわりなのだが、Valveはこのパッチにハニーポット、つまりダミーのパラメーター保管セクションを用意し、不正行為をはたらくプレイヤーをおびき寄せることにした。そして見事に本来アクセスできない領域に侵入し、エサに群がってきたのが今回永久追放された4万人超のチーターたちというわけだ。Valveは、「秘密の領域にアクセスしていた」ことから、一般もプロも関係なく「今回のすべての不正アカウント追放は妥当な処分と確信している」と述べている。

冒頭に述べたとおり、オンラインマルチプレイゲームにおける不正行為は『Dota 2』に限ったものではない。同一ゲームでも、ゲーム機のコントローラーによる操作と、PCのマウスおよびキーボードによる操作の違いから発生する有利不利の要素を逆手にとり、コントローラー向けに用意された補助機能はそのままに、ゲーム機でPC用のマウスやキーボードを使えるようにする「コンバーター」を使う不正行為もある。Ubisoftは先日、FPSゲーム『Rainbow Six Siege』におけるコンバーター使用者が、まともにプレイできなくなる対策を施した

一方、Riot Gamesは『LoL』および『チームファイトタクティクス(TFT)』といったゲームのソースコードと、それらで使用されてきたアンチチートシステムが盗み出されたことを明らかにし、新たなチートプログラムが将来的に出回ってしまう可能性があるとユーザーに警告している。Riotは、コードを盗み出したハッカーらから1,000万ドルの “身代金” を要求されたが、これを拒否したと述べている

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