フォービエイテッド・レンダリングがキモ

PlayStation VR2、一部ゲームで“RTX 3090 Ti超え”との証言

Image:Sony Interactive Entertainment

いよいよPlayStation 5専用の新型VRヘッドセット「PlayStation VR 2」が2月22日に発売されるが、先行予約が予想ほど伸びないため、生産台数を減らす見込みとの報道もあった。ソニーは直ちに否定したが、大手量販店で今なお予約注文でき、かつてのPS5本体ほどのブームが確認できないのは事実だ。

そんななか、PS5+PS VR2を組み合わせると、特定のVRゲームでは、高価で強力なグラフィックボード「Nvidia RTX 3090 Ti」を搭載したゲーミングPCも超えるとの証言が伝えられている。

そのゲームとは、戦術ミリタリーVRシューティングの『Pavlov VR』だ。本作はPS VR2のローンチ時期に発売される30以上のタイトルのうちの1本。もともと2017年にPC版がSteamで発売されており、PS VR2版とのパフォーマンスが比較できる。

今回の発信源は、本作を開発したスタジオのCEOであるDavid Villarreal氏だ。同氏はDiscordのチャットで、PS VR2は「VRの最高峰、特にシューター向け」であると発言している。さらにPC用VRよりもパフォーマンスが10%上回るとも述べ、その理由について「ゲーム専用機でありレンダリングが効率的だから」としている。

その後、ゲーミングPCには様々な構成があり、ローエンド環境ならPS VR2に及ばないのは当然とのリプライもあった。もっともな指摘だが、これに対してVillarreal氏は「3090Ti(と比べてのこと)」と明らかにした格好だ。

この「3090Ti」とは、かつてNvidiaの最上位ゲーミングGPUだった「RTX 3090 Ti」のことだ。すでに発売から1年近く経っているが、記事執筆時点でも国内での市販価格は20万円を超えている。あくまでGPU単体であり、その他PCパーツの価格は含まれていない。

なぜ、はるかに安いPS5+PS VR2が、その性能を凌ぐことができるのか。おそらくゲーム関連以外の機能をそぎ落とした専用ハードウェアであり、しかもVRに特化した効率的な描画を実現しているためと推測される。

PS VR2は視線トラッキングにより「プレイヤーの中心視野ほど高解像度に、外側に行くにしたがい低解像度で描く」、いわゆるフォービエイテッド・レンダリングを実現している。これによって不要な負荷を減らし、VR体験のコア部分でのクオリティを向上させられるわけだ。

さらにVillarreal氏は、PS VR2版はアダプティブトリガー(トリガーを引く重みが変わるしくみ)により、各武器ごとに反動や引き金の抵抗も異なることにも触れている。そうした視覚・触覚を含めた総合的な没入感を指して、「特にシューターにとってVRの最高峰」と賞賛しているのだろう。

PS VR2のローンチ時期には30本以上のソフトが投入され、100本以上のタイトルも開発中と告知されており、ライブラリ不足の懸念は解消している。

ヘッドセットの価格だけでPS5本体を超えるため、決して万人向けではないが、最高のVRシューティング環境を求める人にとってはコストパフォーマンスに優れていると言えそうだ。

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