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マイクロソフト、ChatGPT技術を統合した新しいBing/Edgeを発表

Image:Microsoft

マイクロソフトは、以前から噂されていた、ChatGPTを開発するOpenAIの技術を統合したBing検索のアップグレードを発表した。ほかにウェブブラウザーEdgeのアップグレードも発表している。

「新しいBing」とマイクロソフトが言うように、今回のBingへの機能追加ではOpenAIのAI技術を独自に強化した検索機能「AIコパイロット」が提供され、検索に対する回答がわかりやすく、より正確になっている。またもう一つの主要な新機能であるチャット機能では、ユーザーが自然な言葉で質問し、AIから回答を得ることができる。

新しいBingでは、従来の検索結果はウィンドウの左側に表示し、AI を利用したコンテキストと注釈は右側に表示される。このレイアウトには、AIが提示した結果のファクトチェックをしやすいようにする意味もあるとのこと。ChatGPTの既知の問題として、誤った解答をさも事実であるかのように記すことがあるため、それを防止するための配置になっているのかもしれない。

またマイクロソフトは、新しいBingではChatGPT よりも「はるかに強力」で、特に検索能力に長けるという次世代の大規模言語モデルを搭載すると述べている。これはChatGPTとGPT-3.5言語モデルをマイクロソフトが独自に強化したもので、マイクロソフトは「Prometheus(プロメテウス)」モデルと称している。

イベントのデモで行われた一例では、メキシコ旅行の5日間の旅程が、Bingの検索エンジンに依頼するだけで作成できたという。マイクロソフト会長兼CEOのサティア・ナデラ氏は、この新Bingの登場で「検索の新しい日」が始まったとした。

一方でEdgeブラウザーには、文章のひな形作成を肩代わりする役目を担う「compose」機能と、ウェブサイトの要約やウェブサイトの内容に関するインタラクティブなQ&Aを提供する「chat」という2つの新機能が提供される。

compose機能では、たとえばLinkedInへ投稿する記事を書く場合に、かんたんな概要を入力することで、AIがサンプルとなる文章を出力するといった使い方が可能。一方、Chat機能は、長くてわかりにくいビジネス文書などから要約を抜き出して示させたり、2つの決算報告書の比較表を出力させたりと言ったことができるとのことだ。

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AI言語モデルで強化された新しいBing検索は、今日からBing.comで利用できる。ただし、当面は限定プレビューの形での提供となるため、試してみたいユーザーはサインアップのうえで順番待ちリストにエントリーし、順番が来るのを待たなければならない。ただ、マイクロソフトは今後数週間のあいだに数百万人がフルバージョンを利用可能になるとしており、順番待ちで長期間待たされることはなさそうだ。なお、マイクロソフトは新Bingの雰囲気だけでも体験できるよう、FAQやいくつかの質問事例を参照できるページも用意している

マイクロソフトによる検索分野へのAI言語モデルの統合は、前日に実験的に導入すると発表されたGoogleの「Bard」技術よりも数歩先を行っているように思える。ただしマイクロソフトは、ChatGPTがしれっと誤情報を回答に紛れ込ませてしまう”クセ”に関して、完全に解決できてはいないとしており、上記のFAQを記した紹介ページでも「ただし、AIは間違いを起こす可能性がある。またインターネット上のサードパーティのコンテンツは、常に正確だったり高い信頼性があるわけではないため、Bingは見つかった情報を、誤った状態で伝えてしまう場合がある」とユーザーに注意を促している。

AI言語モデルの多くはインターネット上にある情報を収集し、それらをもとに学習しているため、もともとの情報が誤っていれば、AIが知っていることも誤情報に基づいている場合があるということ。そのためマイクロソフトは、ユーザーが自身で情報が正しいかを確認する必要があるとしており、Bingに対しても情報の入手元を尋ねることができるようになっていると説明している。

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