火星に行くにはお金がかかる

ビル・ゲイツ、イーロン・マスクの火星進出計画は「金の無駄遣い」

Image:lev radin / Shutterstock

マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏がインタビューに答え、テスラやSpaceX、そしていまはTwitterのCEOにもなったイーロン・マスク氏のことを、いまは「偉大な慈善家」とはみていないと述べ、SpaceXが取り組んでいる火星への入植計画の取り組みは「お金のムダ」と切り捨てた。

これはBBCが行ったインタビューで、マスク氏がいずれゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏、ジェフ・ベゾス氏のように巨額寄付者のクラブに加わり、築き上げた富の大半をゆくゆくは寄付するようになるかと尋ねられたことに対するゲイツ氏の返答。

ゲイツ氏は「ああ、彼はいつか偉大な慈善家になるだろう」「テスラなどは慈善事業でなくとも、すでにポジティブな影響を与えている」と述べた。そして、「彼はほとんど自分のために大金を使うことはないと思う」と続け「だから、彼はいつか自分の創意工夫を生かす格好で慈善家の仲間入りを果たすと思う」とした。

ただ一方でマスク氏の、人類は将来の絶滅を回避するために火星に移住して「多惑星種」になるべきという考えに対しては、「火星に行くには実はかなりのお金が必要だ」「その金で麻疹ウイルスのワクチンを買えば、1人あたり1000ドルで命を救うことができる。そう考えれば、”火星には行くな”と言いたいね」と述べた。

ゲイツ氏は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じ、貧しい国々へのワクチンの提供やその研究開発に数十億ドルを費やしてきた。また財団は、世界からポリオを根絶するための取り組みとして、ワクチンを利用しやすくするためにも数十億ドルを投じてきたと述べている。

また2010年に、ゲイツ氏はバフェット氏と共に「Giving Pledge」と呼ばれる、寄付に関する啓蒙活動を始めた。これは資産家が、生前もしくは死後に、資産の半分以上を慈善活動に寄付すると宣言することで、寄付に馴染みがない富裕層が動くきっかけを作ろうとする活動だ。

マスク氏は2022年にゲイツ氏からこの活動への参加を誘われたものの、断っている。理由はゲイツ氏がテスラ株で大規模なショートポジションを持っていたからだ。

ショートポジションとは、ざっくり言うと、将来的に値下がりすると判断した株を売り、実際に下がった時点で買い戻して決済することで利益を得る投資手法のこと。マスク氏は「気候変動の解決に尽力しているテスラに対して、大量のショートポジションを持っているような相手の話を真剣に受け止めることはできない」と述べていた。

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