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アップル、2019年以来の前年比収益減少を発表か。アナリスト予測

Image:LittlePigPower / Shutterstock.com

アップルが木曜日に発表する10~12月期の業績報告において、2019年1~3月期以来となる、前年同期比での収益減少を発表するとのアナリスト予測が伝えられている。

要因はいくつかあるものの、そのひとつとして、中国でのiPhone上位機種の生産体制が、新型コロナによる操業停止などで数週間にわたり滞ってしまったことが挙げられる。

これにより、最も売上げが見込めるクリスマス期のiPhone出荷ペースが不確実になることが、昨年11月の時点で予想されていた。実際、年末商戦の時期に店頭でiPhone 14 ProおよびiPhone 14 Pro Maxをみつけるのは非常に難しかった。

アップルは投資家に対し、生産面の問題によって出荷台数が予想を下回ると述べていた。またUBSのアナリストDavid Vogt氏は1月、iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxの米国および中国での出荷待ちが30日を超える日数に拡大するなど、「11月初旬から中旬にかけて、混乱による影響のピークが感じられたと考えている」と述べている。また金融情報サービスRefinitivのアナリストは、アップルの12月期の売上が1210億ドル強になると予想しているが、これは前年同月の1239億ドルからやや減少した数値となる。

ただ、このような問題はアップルに限ったことではない。消費者や企業がパンデミックを経て、訪れつつある不況に備えた出費抑制をし始めたことで、世界的にIT市場が低迷する状況になっている。この時期、スマートフォン市場もPC市場も、大幅な落ち込みを記録していることがすでに報じられている。

むしろ、アップルはその中では落ち込みが少ない方とされ、マイクロソフトやGoogleなど、他の主要なIT企業が続々と人員削減に踏み切るなか、アップルはまだそのような対応をとるまでに至っていない。モルガン・スタンレーのアナリストErik Woodring氏は今月初め「消費者需要の状況は短期的な懸念材料だが、アップルのモデルの基本的な原動力になっているインストールベースの拡大とユーザーあたり支出額は維持されている。Appleのエコシステムの強さと安定性は依然として過小評価されていると考える」と述べていた。

12月期においてはiPhoneの上位モデルで出荷が滞ったものの、現在はそれも解消されており、3月期には、アップルの売上高は前年同期比でプラスに戻るとも予想されている。ただし、世界の金利上昇などの状況に応じて消費者心理が出費抑制に傾くようなら、アップルは投資家に対し、3月期の売上も低迷することを示唆する可能性があるとCNBCは伝えている。また多くの売上げを米国外から得ているアップルは、ドル高の進行具合も収益に影響するため、アナリストらは相場の動向にも注意の目を向ける必要があるとしている。

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