アップルの修理マニュアルは分かりやすいか?を検証

iFixit、14インチMacBook Pro(2023)を分解。前モデルとの違いは?

Image:iFixit

ハイテク製品の分解で知られる修理業者iFixitが、最新のM2 Proチップを搭載した14インチMacBook Pro(2023)の分解動画を公開している。これまでの分解レポートとの違いは、iFixit独自の手法ではなく、アップルの公式修理ガイドに沿って作業していることだ。

新型14インチMacBook Proの内部は搭載プロセッサーを除けば、先代の2021年モデルとほとんど違いがない。そのまま分解しても同じ内容となってしまうため、iFixitはあえて公式修理ガイドを使用している。本当に一般ユーザーにとっても分かりやすいか、修理のプロが検証している次第だ。

記事執筆時点で、アップルが公開している最新の修理マニュアルはMac Studio(2022)である。14インチMacBook Pro(2023)の分はまだなく、2021年モデルのそれで代用されているが、iFixitは問題はないと判断している(実際に問題はなかった)。

公式修理マニュアルは160ページにもおよび、全ての部品とネジを適切に取り外すため39種類の工具を用意するよう指示している。それぞれの局面でどの工具を使うか、ネジやケーブル、フィルムをどういった順番で外すかが丁寧に説明されており、その手順に従うだけで安全に作業が進められるという具合だ。

しかしアップル製品の例に漏れず、M2 14インチMacBook Proの内部設計も細部までこだわりがあり、1つの部品を取り外すのに非常に時間がかかり、次の部品にたどり着くまでに多くのネジに取り組む必要がある。しかも、1つ1つに細心の注意が求められ(特にガラス製のトラックパッド)、修理業者にとっても生やさしい相手ではなさそうだ。

さらに、本来はユーザーに触らせることを想定しない電子部品の扱いにつき、安全性に関する警告が数多く記載されている。その説明は、iFixitによれば「かなり包括的でわかりやすい」とのこと。なかでも興味深いのは、ユーザーが修理中に決してバッテリーに触れないよう、MacBookの画面をテーブルの端に垂らすように指示している点だろう。

iFixit恒例の修理しやすさスコアは、多くの部品が基板にハンダ付けされているため、10点満点中5点と評価されている。

今回iFixitは言及していないが、14インチMacBook Pro(2023)と先代の2021年モデルには1つ大きな違いがあると指摘されていた。それはベースモデル(ストレージ最低容量)のSSDチップの数が減らされ、読み書き速度が大幅に遅くなっていることだ。

アップルはMacBookに関して、開発や素材に高コストをかけた筐体とコストダウンを両立させるため、数世代にわたって同じデザインを引き継ぐことが珍しくない。もちろん新世代ほどプロセッサーは強化されているはずだが、仕様表には記載されないSSD速度については「新しいほど改良」とは限らないようだ。

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