むしろiPhone 15にとって明るい材料?

アップル、独自Wi-Fiチップ開発を一時中断?プロセッサー量産を優先か

Image:Camilo Concha/Shutterstock.com

アップルが進めているとされるWi-Fiチップの開発作業を一時的に停止しているとの観測が報じられた。ただし、その理由の1つは今年の「iPhone 15」シリーズに搭載予定の「A17 Bionic」チップ等の量産体制を整えるためのようだ。

今月初め、アップルの内部情報に詳しいMark Gurman記者は、同社がWi-FiとBluetooth統合チップを開発中だと報じていた。そのために、iPhone等の無線関連コンポーネントを供給していた米Broadcomとの契約は延長されないというのだ。

が、アップルのサプライチェーン情報に精通するアナリストMing-Chi Kuo氏は、独自Wi-Fiチップの開発は現時点で中止されており、「しばらくの間」保留されると述べている。つまり、BroadcomはiPhone 15以降のアップル製品に、当面の間はWi-Fiチップを提供し続けるということだ。

原因の1つとされるのが、アップルがこれまで開発してきたのはWi-Fi専用チップであり、噂のWi-Fi+Bluetoothの統合チップではなかったということだ。統合チップはWi-Fiのみのチップよりも開発難度が高く、(iPhone用のチップを)Broadcom製から独自開発チップに置き換えると決めた場合は、さらに難度が上がるというわけだ。

もう1つの要因が、AシリーズチップやMシリーズチップ等のプロセッサー開発を最優先にする必要性である。これらの性能向上が鈍化すれば、iPhoneやMacなどの最終製品の販売にも悪影響を及ぼすことになる。

そのため、これら最先端の3nmチップを2023~2025年に量産体制へと導き、性能と消費電力の削減を大幅に改善させるべく、IC設計リソース(エンジニアなど)をプロセッサーの開発に振り向けているという。その一方でWi-Fiチップはもちろん、独自5Gモデムチップもリソース不足で量産が遅れているとのことだ。

さらに今後2~3年の間にスマートフォンの無線規格もWi-Fi 6EやWi-Fi 7へと移行するため、アップルが独自Wi-Fiチップを採用するのはリスクが高いという。ちょうど数日前、iPhone 15がWi-Fi 6Eに対応するとのアナリスト予測が出たばかりである。

今回の情報は、iPhone 15 Proモデル(標準モデルはA16搭載が予想)にとってはむしろ朗報かもしれない。3nmチップのA17 Bionicにより性能とバッテリー持ちが向上し、実績あるBroadcomチップのおかげでWi-FiとBluetooth接続の安定性が期待できそうだ。

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