州弁護士会「異議あり」
AIロボット弁護士、法廷デビューならず。州弁護士会ら反発
ニューヨークのスタートアップ企業、DoNotPayのCEOが、Joshua Browder氏の交通違反に関する裁判で、被告の代理人としてAIロボット弁護士を法廷に持ち込むと発表していたが、その計画を断念したことを明らかにした。
理由は複数の弁護士会から、ロボット弁護士を法廷に持ち込めば、場合によっては軽犯罪に問われ、最長6か月の懲役が問われる可能性があると指摘されたからとのこと。Browder氏は「たとえそうはならなくとも、刑事責任を問われると脅されれば、諦めざるを得なかった」とし「頻繁にそのような脅しの手紙が来るようになり、気が散って仕方がなくなったため、前に進むことにした」と述べている。
DoNotPayが法廷に持ち込もうとしたロボット弁護士は、ChatGPTやDaVinciといったAIテキスト生成ツールをベースとし、徹底的に法律を叩き込まれたものだという。法廷でこの技術を使う被告は、裁判の様子を録画するスマートグラスを装着し、さらにAIが何を言うべきかを伝えるヘッドセットを装着することになる。
しかし、米CBSが指摘したところでは、このやり方はほとんどの法廷で違法とされ、裁判の内容を録音するためには、州によっては当事者全員の同意が無ければならない。DoNotPayが自ら調べたところでも、300件の裁判で、使用が許可されそうなものは2件しかなかったという。
また、法規制以外の問題もある。カリフォルニア州弁護士会は、費用がかかる法律相談の市場において、資金力を持ちながら質の悪い法廷代理人を低価格で提供するプロバイダーが増加しており、無許可の法律行為の潜在的な事例を調査する義務があると指摘。「こうしたサービスを規制すべきかどうか、またどのように規制するべきかについて疑問を投げかけている」とNPRに述べた。
一方、たとえ裁判でロボット弁護士を使えたとしても、DoNotPayのAIツールが法的なサービスを必要とする人々にどれほどの効果を提供できるのか、一部のオブザーバーは疑問視しているとのこと。そのようなツールを使って散々な結果を得る人が出てくる可能性もある。
ロボット弁護士の法廷デビューを(今回は)諦めることにしたDoNotPayだが、今後も高額な医療費、不要な定期購入、信用調査機関との問題に対処する人々を支援することに焦点を絞り、AIを再訓練するとしている。ただBrowder氏は「ほとんどの人は弁護士を雇う余裕がない」「人々が法廷でChatGPTのようなツールを使うことができれば、もしかしたら勝訴の手助けになったかもしれない」とした。
Browder氏は被告の弁護に使うAIを “ロボット弁護士” と呼んだことで「多くの弁護士を怒らせてしまったと思う」と述べた。一方でBowder氏は、技術の進歩に対して、法廷の決まりごとが時代遅れになっていることを州弁護士会が理解していないと指摘し「いまも、人工知能が最終的に法廷で人々を助けられるようになることを望んでいる」とした。
- Source: NPR