ポテンショメーターでなくホールセンサー採用
Switchの“Joy-Conドリフト”問題、対策済みのスティック部品が海外発売
中国のGuliKitなるゲーム周辺機器メーカーが、Nintendo SwitchのJoy-Conのスティック部の交換用パーツを発売している。
SwitchのJoy-Conスティックといえば、Switchが最初に発売された当時から「ドリフト」と呼ばれる、スティックに触れてもいないのに入力が行われ、キャラクターが動いてしまう問題が発生し、一時は集団訴訟にまで発展していたのを覚えている方もいるだろう。しかし、このGuliKitが販売する交換用スティックパーツ「GuliKit Hall Joystick for Joy-Con」は、ユーザーをドリフトの悩みから解放するかもしれない。
Switchだけでなく、PlayStationやXboxのコントローラーでも発生するドリフト現象は、スティックへの入力を電圧信号に変換するポテンショメーターと呼ばれる部品の、電気的な接点部分が物理的に摩耗・劣化することで発生する。
しかし本製品では、スティックの入力変換にポテンショメーターではなく、ホールセンサーと呼ばれる、非接触形の変換素子を用いているのが大きな違いだ。ホールセンサーは磁気センサーの一種で、電流を流したホール素子が、干渉する磁束の強度に比例して電圧を出力する特性を利用する。非接触であるため、Joy-Conのスティックのようなドリフト現象が発生する可能性は非常に少ないというわけだ。
じつは、このホールセンサーは、30年も前にゲーム機のコントローラーに採用されていた。それが、セガがサターン用ゲーム『NiGHTS into dreams…』に合わせて発売した「セガマルチコントローラー」、通称「マルコン」だ。マルコンは左の十字キーの上にアナログ操作キー(スティック)が追加されており、『NiGHTS』やほかのアナログ入力対応のゲームで使うことができた。
iFixitは昨年8月、セガが30年も前にドリフト問題を解決していたとする記事を公開し、マルコンやその後に出たドリームキャスト用のコントローラーを紹介している。
またGulikitは、これまでにドリフトが発生しないゲームコントローラーとして「GuliKit KingKong 2 Pro Controller」を発売している。ただし、これはJoy-Conのドリフト問題を解決するものではなかった。
よって、新たに発売された「GuliKit Hall Joystick for Joy-Con」で、ようやくSwitchのドリフト問題が解決できるようになったと言えそうだ。ただし、Joy-Conのスティックの交換はそれほど簡単な作業ではないため、もしチャレンジしようと思うのなら、むやみに分解しようとするのではなく、iFixitが公開している動画などを参考にすると良いだろう。ただし、作業はあくまで自己責任であることを忘れずに。
ちなみに、「GuliKit Hall Joystick for Joy-Con」は米Amazonで29.7ドルで販売されている(日本のAmazonでも商品は見つかるが、記事執筆時点では在庫切れの状態になっている)。