2025年の商用化を目指す

世界最大「水素電気飛行機」が初飛行。約10分間のテスト成功

Image:ZeroAvia

1月19日に航空ベンチャーのZeroAviaが、水素燃料電池とモーターでプロペラを回すプロトタイプのドルニエ228旅客機で、10分間のテスト飛行を完了した。これは英国政府が一部の資金を提供して行われる開発プログラム「HyFlyer II」プロジェクトの一環として行われたもので、今回のテストは、水素電気エンジンを搭載した世界最大の航空機の飛行だとZeroAviaは述べている。

もともとは双発の19人乗りターボプロップ旅客機であるドルニエ228だが、今回の試験機はキャビンに2つの燃料電池スタックとピークパワーサポート用のリチウムイオン電池を搭載し、フルサイズの水素電気パワートレインを左翼に搭載している。また離陸時に安定した出力を得るため、従来のターボプロップエンジンを右翼に残している。将来的な商用構成では、もちろんキャビンの機材は別の場所に移され、座席が復元される。

飛行は、英国グロスターシャー州のコッツウォルド空港にある同社の研究開発施設から行われ、タキシング(離陸位置への移動)、離陸、フルパターンのタッチアンドゴー、着陸まで順調に完了した。搭載されたシステムはすべて期待したとおりに動作し、ゼロエミッション航空の未来に向けた大きなマイルストーンになったとZeroAviaは述べている。

この試験飛行を経て同社は、すでに進行中の2~5MWパワートレイン計画に着手することになる。この拡大されたクリーンなパワートレイン技術は、90席クラスの航空機で適用可能になり、10年後の実用化に向けた開発機に搭載される予定だ。

ZeroAviaにはアメリカン航空やユナイテッド航空といった民間航空会社が出資しており、航空業界の脱炭素化のための技術開発を後押ししている。水素は航空燃料に代わる最も有望な代替燃料のひとつと考えられており、今回の試験飛行の成功は、2025年までに商業路線の運行を開始するという、ZeroAviaの目標達成への大きなステップになるはずだ。

ZeroAvia創設者兼CEOのVal Miftakhov氏は「これはわれわれだけでなく、航空業界全体にとっても重要な瞬間で、真のゼロエミッション商業飛行がわずか数年後に実現するであろうことを示している」と述べている。また「19人乗りの航空機の初飛行は、われわれの技術がいかにスケーラブルであるかを示し、ゼロ・エミッション推進が急速に進展していることを示している」とした。

すでに同社は1500基の水素電気パワートレインを受注し、2025年の納品開始を目指している。プロトタイプもすでに英米の航空当局から実験証明書を取得済みだ。50基を発注したユナイテッド航空は、この技術が持続可能戦略において不可欠であり、持続可能燃料の重要な代替品になると見なしていると述べている。

もちろん、水素燃料だけが航空業界の脱炭素化の技術として傑出しているわけではない。ただしこれまでとは違い、ユナイテッド航空のベンチャー支援企業United Airlines Ventures(UAV)は「業界はさまざまなソリューションを試し、複数の道すじで解決策をまとめ上げていく必要性がある」と米CBSに述べている。

なお水素電気飛行機は、従来のシステムよりもメンテナンスが少なくて済み、費用対効果も高いという。ZeroAviaの技術は、近年航空会社がサービスを縮小または廃止しつつあるような地方の小規模な航空サービスを復活させていくのにも役立つかもしれない。

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