年内あるいは来年初めには正式発表?

噂のアップル製「AR/VRヘッドセット」、数年にわたる開発チームの苦難が報じられる

Image:apple

アップルは長年にわたりAR/VRヘッドセットを開発しており、年内あるいは来年初めには正式発表すると予想されている。もちろんアップルならではの秘密主義により外部から隠されているはずだが、開発プロジェクトが直面したという、技術的およびリーダーシップ上の数々の課題が報じられている。

このアップル純正ヘッドセットの開発プロジェクトについて、有料ニュースメディアのThe Informationが、たどった道のりを詳細に伝えている。たとえば、Dolbyの元幹部であるMike Rockwell氏が率いる開発チームは、社内の他の部署から協力を得るために定期的に “戦う” 必要があったそうだ。

さらに2017年半ばには、アップル本社から少し離れた米カリフォルニア州サニーベールで作業しており、おかげで「アップルの他の部署から、グループの不可視性(存在を認識させない)を守ることに役立った」とも述べられている。

また、開発メンバーの1人は、アップルのカメラハードウェアエンジニアリンググループに、ヘッドセットのカメラが画像を取り込み、ディスプレイに再投影する速度を改善するファームウェア機能を追加するよう頼んだという。アップルのトップ社員100人に向けての重要なデモ「T100」に間に合うよう試作機に盛り込みたかったためだが、ヘッドセットの優先順位が低く、同年末のiPhone XSの出荷後まで待つように言われたとのことだ。

また、開発チームは1日に最大8時間装着できる交換可能なバッテリーを検討したが、複雑なため最終的に破棄されたとも付け加えられている。2021年時点で、ヘッドセットのバッテリーは「類似の製品に準じた、数時間は持つ」ものだったという。

そもそもアップル純正ヘッドセットの噂が活発となったのは、他ならぬThe Informaitonの報道がきっかけだった。同誌は「後期プロトタイプ」に基づくレンダリング画像を公開し、8Kディスプレイを2枚搭載、高度なアイトラッキング機能もあるなどを伝えていた。

それ以降、数々の情報源から噂話が飛びかっている。アップルの内部情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、本製品が2つのチップを搭載し、少なくとも1つは最新の14インチ/16インチMacBook Proに採用されたM1 Proと同等になると述べていたことがある。

またディスプレイ専門アナリストのRoss Young氏は、「革新的な3枚ディスプレイになる」と予想している。同製品はフォービエイテッド・レンダリング(中心視野は精彩に、周辺視野は低解像度にすることでシステムへの負荷を下げる手法)を採用し、その周辺視野向けにAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)パネルの3枚目が追加される、という見通しである。

上記のGurman氏は、アップル製ヘッドセットが競合他社製品よりはるかに高価になり、Mac Pro的な高級品になるとも述べていた。たしかに噂のリッチな仕様がすべて本当だとすれば、数十万円になってもおかしくはなさそうだ。

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