スキーの転倒は計算外?
iPhone 14で「スキーで転ぶと緊急通報」。衝突検出の誤動作、修正後も報告多数
iPhone 14シリーズや最新のApple Watchに搭載された「衝突検出」は、実際に人命を救ったケースも少なくない。その一方で、ジェットコースターに乗っているだけで緊急通報されたなど、誤動作も相次いでいた。
その後、iOS 16.1.2アップデートにより「最適化」されたはずだったが、まだスキーなどを衝突事故と誤解して、緊急通報を続けていると報じられている。
この衝突検出は、iPhoneが激しい自動車衝突事故を検出すると、通知が表示され、キャンセルされない場合は20秒後に緊急電話を自動発信する機能だ。アップル公式には、車内の圧力変化や速度の変化、大きなノイズなどを各種センサーで検知し、「100万時間以上の実世界での走行と衝突事故データでトレーニングされた高度なモーションアルゴリズム」が正確性を提供していると説明されていた。
そして誤動作が報告されるなか、アップルは11月にiOS 16.2.1をリリース。それでも、iPhone 14やApple Watchがスキーの転倒を衝突事故と誤認して、地元当局に911コール(緊急通報)が増えていると伝えられている。
たとえば、米コロラド州サミット郡の911センターには、4つのスキー場にてiPhoneやApple Watchから71件の自動車衝突通報を受けたという。そのどれもが、緊急事態ではなかったそうだ。
この記録的な数の誤通報により、緊急対応のリソースが制約されているとのこと。911コールが入ると、着信した順番に処理されるため、本当の緊急事態を伝える911通報が後回しにされる可能性が高いというわけだ。
また同州ピトキン郡の911センターには、こうした自動通報が4つのスキー場から1日に15~20件ほど掛かってくるそうだ。通常1~2人のオペレーターが911コールを担当し、iPhoneからの誤通報に対応するため、通常の緊急コールを保留にすることもあるという。これまでも倒れたハイカーや、時計の下敷きになった住民を助けてきたが、今のところスキー場からの自動音声による緊急事態は発生していないとのことだ。
そしてiOS 16.2.1の配信後も、この問題はなんら改善していないようだ。サミット郡の保安官は「数字に変化はない。1日に20件も(誤通報が)発生しており、リソースに多大な損害を与えてる」と語っている。
この保安官は、アップルに懸念を伝えており、同社がこの問題を認識しているとの回答を得たそうだ。それでも、さらに多くの対策が必要だと主張している。「アップルがこの問題にもっと注意を払うよう連絡を取っているが、まるで戦艦をバスタブに入れようとしているような気分だ(訳注:キャパオーバー)」とのことだ。
それでも、iPhone 14の衝突検出(緊急連絡先、つまり家族にも自動通報できる)により、重大な事故に遭った妻のもとに救急車より速く駆けつけられたとの証言もあった。基本的には素晴らしい機能には違いないが、公共のリソースを浪費させないよう、今後も息の長いアップデートが必要なようだ。
- Source: The Colorado Sun
- via: MacRumors