「人を欺くような予告編」は許されないとのこと

「予告編の俳優が出演していない」と500万ドルの集団訴訟。裁判所は原告支持

Image:eyesofarts/Shutterstock.com

映画の予告編で、実際には本編には登場しないシーンや人物が写されていることは特に珍しくはない。が、それを不愉快に思ったファンが訴訟を起こし、有利な判決が下されたことが注目を集めている。

事の発端は、女優アナ・デ・アルマスのファン2人が、予告編を見て「Yesterday」(2019年公開)をAmazonプライムビデオでレンタルしたところ、最後まで観てから彼女の出演シーンがカットされたことに気づいたというものだ。

この2人は今年1月、ユニバーサル・スタジオに対して訴訟を提起。それぞれ3.99ドルのレンタル代を支払ったが、映画の観客を代表する集団訴訟として、少なくとも500万ドルを請求した。

そして裁判において米カリフォルニア連邦裁判所の判事は、ユニバーサル社の抗議を退け、「人を欺くような予告編」を公開することはできないとの判決を下した。

この裁判の核心は、予告編がCMなのか、それとも「芸術的表現物」なのか、ということに尽きる。前者であれば、ユニバーサル社は消費者に対して義務を負い、カリフォルニア州の虚偽広告法や不正競争防止法などの法律により規制される。だが後者であれば、スタジオは米国の憲法修正第1条のもと、表現の自由による広範な保護を受ける権利があるというわけだ。

ユニバーサル側は、完成した映画には登場しない映像やアニメーションを含む予告編の多くを引用したという。たとえば『ジュラシック・パーク』(1993年公開)の予告編は、映画の本編映像は一切出てこないが、映画そのものへのプロローグに位置づけられると主張している。

担当判事は、予告編には「創造性と編集上の裁量」が必要というユニバーサル社の主張を認めつつも、その芸術性は、予告編が本質的に「映画を売り込むために作られた」という事実を上回らないとの判決を下している。

もちろんユニバーサル側は、これに対して反論。もしも連邦裁判所が予告編を「商業的言論」と分類したなら、予告編により抱いた期待に本編が応えられなかったという映画ファンからの訴訟のオンパレードになりかねないとの趣旨を主張している。

が、判事側は「女優やシーンが映画に登場するかどうかに関する表現に限定されており、それ以上のものではない」ことや、「合理的な消費者」の「かなりの部分」が誤解を受ける可能性がある場合にのみ適用される、と述べている。

本編で削除されたシーンや未使用の映像が、予告編で使われるのはよくあることだ。それは単なるウソ予告と割り切れるものではなく、ネタバレを避ける意味合いを含むこともある。米Gizmodoは、『アベンジャーズ/ インフィニティ・ウォー』では、本編でブルース・バナーが(冒頭以外では)ハルクに変身できないにもかかわらず、予告編にハルクの映像を含めたことを例に出している。

この訴訟は、今後ディスカバリ(証拠開示手続き。原告・被告の話し合いの場ともなる)とクラス認定(集団訴訟で、原告が集団の全体(クラス)を代表するかを審査)の申し立てに進むとのこと。もしも集団訴訟が成立し、原告の請求が通ってしまえば映画業界に激震が走ることが予想されるだけに、全世界が注視することになりそうだ。

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