乗り物酔いまでVRで再現?

VRヘッドセットが震える? アップルが触覚フィードバックを搭載する特許取得

Image:Max kegfire/Shutterstock.com

アップルがAR/VRヘッドセットを開発中であることは公然の秘密であり(サプライチェーン情報や申請・取得した特許から)、遅くとも2023年後半までに発売が予想されている。「革新的な3ディスプレイ構成」や、ジェスチャー検出用の高度なセンサー内蔵などが伝えられていたが、まだまだ未知の部分は多い。

そんななか、アップルがヘッドセットにジャイロスコープや、没入感をもたらすハプティック(触覚)フィードバックの搭載を検討している可能性が浮上している。

ハプティックフィードバックとは、触覚により没入感を与える仕組みのことだ。PS5用のDualSenseワイヤレスコントローラーにも搭載され、柔らかいものを触れば軽めの振動を、硬いものを叩けば重い衝撃を返すことで、プレイヤーがゲーム世界を現実のように感じることを助けている。

アップルが新たに取得した「Gyroscopic Precession Engine For Wearable Devices」(ウェアラブルデバイス用ジャイロプリセッションエンジン)なる特許は、あらゆる「人体の一部」に取り付けられるデバイスに、ハプティックエンジンを活用することを主な内容としている。

アップルいわく、ハプティックエンジンは「ユーザーの没入感を高める物理的な感覚をユーザーの身体に与えるもので、XR(訳注:AR/VRを含む概念)の重要な側面である」とのこと。さらに「通知アプリケーションに便利」とも述べている。

しかし、最終的な焦点はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)にあり、「ジャイロプリセッションエンジン」を使ってハプティックフィードバックをもたらすことに集中している。ジャイロスコープを回転させることで「ユーザーの頭や首など体の部位に、映像コンテンツと同期した連続的なトルクや力を与える」ことができるというのだ。

Image:AppleInsider

一般的にスマートフォンでの「ジャイロスコープ」とはジャイロセンサー、すなわち姿勢(角度)を検知するものだ。だが、本特許でのジャイロスコープは、物理的にコマが動く回転儀に近いようだ。

この仕組みにより、HMDで「空気波の圧力感(例えば爆発シーン)」や「遠心力の感覚(ジェットコースターの揺れやカーレース)」を演出できるとのことだ。さらに、ジャイロリセッションエンジンはHMDのほか、VRとARアプリケーションで空間ガイダンスを提供するために、「その他のウェアラブル機器」にも取り付けられると述べられている。

「その他のウェアラブル機器」とは、あらゆる用途をカバーしようとする特許文書ではありがちな表現ではある。だが、アップルは「頭/首/手/手首の運動(ユーザーの動きに対抗するトルクを与えるなど)」、「エルゴ補正(悪い座り方や立ち方の姿勢を直すよう通知または誘導するなど)」、「VRアプリにおける反動フィードバックの提供(物体をボクシングして手/手首に反動を感じるなど)」とも続けている。

つまり、アップル製AR/VRヘッドセットには、触覚フィードバックつきのコントローラー、あるいはスマートグローブが付属している可能性もあるわけだ。

アップルはヘッドセット製品を一代限りで終わらせるつもりはなく、すでに第2世代を準備中で、廉価版など複数モデルを並行して開発を進めているとの噂話もある。iPhoneやMacのように1年~数年おきに新製品が投入され、いずれ触覚フィードバックも内蔵されるのかもしれない。

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