くれぐれも人命尊重を望みたい

中国のiPhone工場、新型コロナ感染者も出勤させているとの報道

Image:Novikov Aleksey/Shutterstock.com

中国・鄭州市にある台湾Foxconnの工場は、全世界のiPhone生産のうち約80%を担う最大の施設である。ここ数ヶ月、iPhone 14 Proモデルの納期が遅延しているのも、同工場が新型コロナ禍により操業が制約されているためと見られていた

この世界最大のiPhone組立工場で、病気の従業員も仕事を続けるよう求められ、あるいは新型コロナ感染の検査を受けないよう勧められているとの噂が報じられている。

本工場で数百人もの従業員らが抗議デモを起こした一件は、まだ記憶に新しい。事の発端は、施設内で新型コロナ感染が拡大し、20万人以上もの労働者が集団隔離され、食糧不足や医薬品が不足する中で生活を強いられたことだ。

かなりの人々が工場から脱走して故郷に帰り、Foxconnはそれを引き留めるために特別ボーナスを約束。しかし、給与やボーナスの支払いが滞ったため、不満が爆発して抗議活動に至った。Foxconnが事態を収めるため退職金を支払ったところ、2万人以上が離職し、人手不足が深刻になっている。

その後、鄭州市のロックダウンは終わったものの、Foxconn工場は「高リスク」に指定。最長で1ヶ月間、従業員が24時間365日施設内に留まるクローズドループ生産を続けることが義務づけられている

その一方では「ポイント・トゥ・ポイント」システムは終了。すなわち「寮と生産ライン間のみ移動が許される」制約はなくなり、カフェテリアやレジャー施設は利用可能になっている。

さて、今回の情報の発信源は、海外テックメディアRest of Worldだ。それによれば生産ラインの従業員には、新型コロナ感染を防ぐためにN95マスクが支給されているとのこと。だが、8人が近くで寝ている寮の部屋では、簡単に感染してしまうという。

また3人の従業員は、症状が出ているにもかかわらず、仕事に留まるよう求められたと語っている。また上司から、生産ラインに留まるために(感染)検査を受けないよう勧められたとの証言もある。


すでに生産ラインでは、咳や発熱が日常茶飯事になっているとのこと。ある30歳の新入社員は、新型コロナの検査結果を待つ2日間、発熱したまま仕事をしたと述べている。上司も歩くのもままならない状態で、しわがれた声で仕事の遅い従業員を叱りつけているそうだ。

記事執筆時点(12月21日)では、iPhone 14 Proモデルの配送日は3~4週間後とされ、一時期の1ヶ月以上待ちよりも改善されている。しかし、それが誰かの犠牲のもとでは意味がなく、くれぐれも人命が優先されることを祈りたいところだ。

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