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米国、「核融合点火を達成」と発表。消費分より多くのエネルギー抽出に成功

Image:LLNL

米エネルギー省(DoE)が、カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)内の核融合研究施設「National Ignition Facility(国立点火施設:NIF)」で、核融合を起こすのに使うレーザーのためのエネルギーよりも多くのエネルギーを反応から生成する「核融合点火」に初めて成功したと発表した。

核融合反応は太陽の中で起こっている反応とされ、莫大なエネルギーを放出する。もし地球上で、この核融合反応を実現し制御することができれば、世界を化石燃料の消費などによる温室効果ガスの問題、エネルギー枯渇の問題から開放する可能性がある。

これまでの核融合点火の実験では、投入したエネルギーを上回るエネルギーを生み出すには至っていなかった。米核融合産業協会のCEO、アンドリュー・ホランド氏はCNBCに対し、今回の点火成功は「核融合エネルギーの物理的基礎を証明し、核融合は近い将来、安全で持続可能なエネルギー源になる」とコメントしている。

NIFは現地時間12月5日午前1時3分に、ダイヤモンドで覆われた数mm大の水素同位体に対し192本のレーザーを一度に照射した。その結果、レーザーによる2.05MJ(メガジュール)のエネルギー消費に対して、反応から3.15MJのエネルギーを取り出せたとのこと。

今回の成果は、制御核融合の「さわり」の部分の話だが、反応前後でプラスのエネルギーを生み出す「核融合点火」に成功した。これは、科学者たちが数十年にわたって実験を繰り返してきたなかでも、非常に大きく画期的な成果と言えるものだ。ただ、将来の持続可能なエネルギー源として核融合を実用化するまでには、まだ数十年単位の時間がかかるだろう。ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)所長のKim Budil氏は、発表の会見で「真の投資と真の集中が、そのタイムスケールを短縮できる」と述べた。

Image:LLNL

今回の実験は、あくまでダイヤモンドの中に閉じ込めた燃料にようやく1度だけ点火したというものだ。今後実用化していくには、短時間に何回もこの反応を起こせるようになる必要があり、技術的なハードルはなお高い。そのためにはいまよりもさらに効率的なレーザー設備が必要で、Budil氏はそれを構築するためには、民間企業の研究への参加が不可欠だとした。「この成果への到達にはとにかく多額の公的資金が投入されたが、今後それを商業レベルにまで引き上げようとするならば、公的資金に加えて民間の能力が必要だ」と述べ、官民の協力によって研究を加速する重要性を訴えた。

なお、核融合を実現する方法は米国のレーザー照射による方式だけでない。欧州トーラス共同研究施設(JET)は時期を使うトカマク型核融合の研究を進めている。

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