深夜の配達は危険だらけ

Alexaに「サンキュー」で配達員にチップ支給、米Amazonで開始

Image:Cineberg/Shutterstock.com

そろそろホリデーシーズン(年末商戦期)で、Amazonが配送する荷物の量も最高潮に達する頃だ。昨年、同社の配送を請け負うドライバーは、この時期の注文の多さが「人生を地獄にする」と語っていた

だが今年は、ユーザーが同社の音声アシスタントに対して「Alexa, Thank My Driver(アレクサ、ドライバーに感謝)」と言えば、Amazonから配達員に5ドルのチップが支払われることになる。

これは、Amazonが12月7日(現地時間)から行っているプロモーションの一環である。配送ドライバーは、サンキューを送られると、先着100万人で5ドルが受け取れる。さらに、サンキューを最も多く受け取った5人のドライバーには1万ドルのボーナス、および自分の選んだチャリティーに1万ドルの寄付を送ることができる。

チップの支払いにおいて、ユーザー側の支払いは不要だ。つまりAmazonは、約510万ドルを契約ドライバーらに支払うことになる。ちなみにAmazonは昨年内に、物流センターの倉庫での労組結成を阻止するために、コンサルタントに430万ドル以上を支払ったことを明らかにしていた

同社のラスト・マイル・デリバリー(消費者への配送)担当副社長であるベリル・トメイ氏は、プレスリリースで「ドライバーにとっては、単に荷物を届けるだけではなく、顧客との関係を築き、困難な時に地域社会を支援し、時には予期せぬヒーローのような役割を担っている」と述べている。ドライバーはAmazonと顧客の間を取り持つ、重要な仲介者というわけだ。

しかし、昨年のVICE記事によると、この「予期せぬヒーロー」は夜遅くまで働くことが多く、かなり危険な仕事になっているという。銃を突きつけられた人もいれば、早く配達するためにシートベルトを締めたまま後部座席から運転するようなドライバーもいたとのこと。

そして今年10月、あるドライバーが配達中に犬に襲われて死亡する事件が起きた。その翌日にAmazonはこれを受けて「4本足の客に驚かないように」として、アプリの「配達メモ」部分で肉球のアイコンを確認するよう、ドライバーに注意を呼びかけるメモを送ったと報じられていた

Amazonのドライバーらが集まるRedditコミュニティへの投稿によると、これらの深夜の配達はまだ当然のことだという。しかし先進諸国に住む人たちの多くが、Amazonの配送網に生活を依存しているという事実も一方にはある。ドライバーに感謝の意とともにチップを贈れるサンキューシステムが、日本でも導入されるよう望みたいところだ。

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