Deep Space Networkは忙しい

NASAの深宇宙用ネットワーク容量が不足。Artemis Iが元凶、ウェッブ望遠鏡に影響も

Image:NASA

NASAはこの1年のあいだに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とArtemis I号を打ち上げたが、この2つの大きなミッションによって、深宇宙探査用の通信網Deep Space Network(DSN)の通信容量が足りなくなりつつあるようだ。

DSNは、木星よりも遠い宇宙空間に出ていく探査機と通信を可能にするため、NASAによって構築。カリフォルニア、スペイン、オーストラリアの3か所、14基のアンテナで構成されている。現在は木星よりも近い月や内惑星・地球近傍の小惑星や彗星などを探査する宇宙機全般の通信を担っており、具体的にはDARTLucyParker Solar Probe、そしてボイジャー1号に至るまで、合計39ものミッションを定期的に追跡およびサポートしている。

DSNは1960年代に構築されて以来、設備の老朽化にともない順次新しい通信アンテナに更新、維持されている。しかし、遠い宇宙空間を探査する機器が増えるにつれ、通信に必要な時間は取り合いになり、必要な時間を確保するのが困難になりつつある。そして最新のArtemis Iミッションがこの問題を悪化させているのだ。

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの学者でJWSTユーザー委員会長を務めるメルセデス・ロペス=モラレス氏は、今年の夏頃に「Artemis I号の打上げの際は、宇宙船を追跡する必要があるため、DSNがArtemis Iに占有されてしまうだろうと言われていた」と述べている。そして、実際に打ち上げが行われた11月16日以降、Orion宇宙船はDSNを一定間隔で占有しているとのこと。その間はJWSTを含むその他の宇宙機は待機しなければならない。

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JWSTを使って観測作業を行う科学者らは、通常、週に1回程度しかコマンドを送信しない。しかし、そのコマンドを実行して取得したデータを地上に転送するための時間も必要になる。その時間がArtemis Iにとられてしまうと、JWSTのコンピューターシステムのストレージが一杯になってしまうのだ。そうなると新たな観測ができなくなり、100億ドルを投じた宇宙望遠鏡は作業をいったん止めなければならなくなる。

JWSTとハッブル宇宙望遠鏡、両方の運営に携わる宇宙望遠鏡科学研究所は、Artemis IのためにJWSTの観測スケジュールを変更し、1回の観測時間を短く刻んで、短時間で転送できるようにしたとのこと。アルテミス計画では今後も打上げを実施していくため、科学者らは必要な通信容量を確保可能にする別の解決策をNASAに求めているとと、ロペス=モラレス氏は述べた。

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