マイクロソフトにとっては逆風?

中国がゲーム中毒「解決」と報告。ゲームで世界を魅了する方針か

Image:imtmphoto/Shutterstock.com

中国のオンラインゲーム規制当局の管理下にある中国ゲーム産業グループ委員会、中国ゲーム産業研究所およびゲーム研究機関のCNG(伽数據)が、若者の「ゲーム中毒」問題が解決されたとの共同報告書を発表したと伝えられている。これにより、中国内での若者を対象としたゲーム規制が緩和される期待が高まっている。

昨年(2021年)8月に中国政府は、未成年者(18才未満)の若者達のゲームプレイ時間を週3時間までに制限した。2019年から原則平日は1時間半、週末は3時間に制限されていたが、さらに金・土・日のみ、それぞれ「ゲームは1日1時間」に限られ、規制が強化されていた経緯がある。

中国でのゲーム規制が始まったきっかけは、一昨年(2018年)に習近平主席が子供の近視率の高さを憂慮する談話を行ったことだ。

これを受けてオンラインゲームの新作やゲーム全体の本数を規制する方針が打ち出されたのに続き、国営系のメディア(北京政府の意向と見られる)がゲームを「精神的なアヘン」と呼び、大手ゲームパブリッシャーも一斉に自主規制を開始。さらに、オンラインゲームの新作リリースが1本も許可されない事態となっていた

さて上記の報告書によると、今や75%の未成年者が1週間に3時間未満しかプレイしていないとのこと。中国のゲーム会社がゲーム中毒を抑制するシステムを構築して「目覚ましい効果」を挙げたと賞賛している。

また中国のゲーム業界団体が報告書を公表するにあたっては、事前に北京政府の許可を得ていると思われる。その中で取り組みが評価されたゲーム大手テンセント・ホールディングス、ネットイース、パーフェクト・ワールドに対しては、規制が緩和される可能性がありそうだ。

この報告書は、おりしも中国の国営メディア人民日報が「電子ゲーム産業の価値を深く探求することは、我々が逃すことのできない機会だ」という社説を掲載してから、ちょうど1週間後に発表されたもの。EUがゲームに「極めて高い経済的、技術的、文化的、さらには戦略的価値」を与えているとして、中国もゲーム産業を活用すべきだという趣旨である。

また人民日報は、ゲーム産業が5G通信やチップ産業、人工知能などの先端技術・産業の発展を支える重要な役割を担っていることや、ゲームには明白な国境が存在しないため「中国の文化遺産とコミュニケーション革新のためのオンラインツール」として、中国文明の影響力を高める上で重要な役割を果たせるとも主張している。

つまり中国政府はゲームを国内のデジタル産業を進化させる原動力としつつ、文化的に他国を魅了するソフトパワーとして活用する方針に転じつつあるようだ。米マイクロソフトは中国製ゲームの発掘を強化してソニーへの対抗を図っているとの報道もあったが、中国内での規制が緩和されれば、思惑通りにいかないかもしれない。

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