巨大でも民間企業

アップル、中国でAirDropの機能制限。反習近平ポスター拡散に配慮か

Image:nikkimeel/Shutterstock.com

アップルは11月10日未明、iOS 16.1.1を一般公開した。公式リリースには「バグ修正およびセキュリティアップデート」以外の新機能や大きな変更は何も書かれていないが、実は中国ユーザー向けには特別仕様がもたらされていることが明らかとなった。

それはAirDropの宛先に「すべての人」を指定した場合、10分経過すると無効になることだ。AirDropは近くにあるアップル製デバイスと写真や書類などのコンテンツを共有したり、相手からも受け取ることができる手軽な手段である。

米9to5Macによるとアップデート後には、ユーザーが連絡先(知っている人)のほか、近くの人すべてに対してAirDropを有効にすると、10分の時間制限が課されるそうだ。これにより中国の人々は、見知らぬ人を含む全てのユーザーに対して、AirDropを無制限にオンにしておくことが不可能になった。

この変更はiOS 16.1.1のほか、開発者向けのiOS 16.2ベータ2にも及んでいるという。またソフトウェアではなく、ハードウェアに基づくものであるとのこと。つまり「中国本土で購入されたiPhoneである」ことを判別し、AirDropの仕様変更が反映されているようだ。中国本土向けのiPhoneは他の地域と違ってeSIMが使えず、逆に米国向けiPhone 14シリーズはeSIM専用など、販売地域ごとにiPhoneのハードウェアには違いがある。

アップルが地域別ハードウェアに基づいてiOSの機能制限をすることは、今回が初めてではない。かつて台湾の国旗の絵文字が香港向けiPhoneでは使えなくなったこともあった。今のところ、なぜアップルが中国でのAirDropに制限を課しているのかは明らかではない。

もっとも10月半ばに、中国内で習近平国家主席を批判するポスターがAirDrop経由で拡散しているとの報道もあった。このポスターに書かれていた「我々はPCR検査ではなく、食物を望んでいる。封鎖ではなく自由を望む」とのフレーズは、10月中旬に北京の高速道路の高架下に貼られた横断幕と同じものだとの指摘もあり、アップルが考慮に入れたとしても不思議ではない。

アップルは中国本土では、iCloudサーバーの運営を中国企業のGCBDに移管している。ITの巨人とはいえ民間企業に過ぎない以上、現地の法律や規制当局に対して、一定の配慮はやむを得ないのかもしれない。

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