手数料に加えて広告料も狙っているとの指摘も

アップル、App Storeでのギャンブルアプリ広告を一時停止。苦情に対応

Image:Antlii/Shutterstock.com

今週からアップルは、App StoreアプリのTodayタブと各アプリ製品ページの下に広告の掲載を始めている。このうちギャンブル系アプリの広告についてアプリ開発者達から苦情が相次ぎ、それを受けてアップルがギャンブル関連広告を「一時停止した」と報じられている。

以前からApp Storeでは検索したキーワードに対して、設定された広告が検索結果の上位に来る「Apple Search Ads」を展開していた。新たな広告は、それをToday画面やアプリ製品ページにまで拡張したものだ。

もともとApp Store内での広告は、物議を醸しがちである。が、今回の件で特に問題視されているのがアプリ製品ページ下の「その他のおすすめ」だ。

アプリ開発者らが怒っているのは、自分のアプリのすぐ側に、ギャンブル会社のアプリやカジノ風の基本無料ゲームといった、まるで無関係または倫理的に問題のありそうな広告が並んでいることだ。たとえば開発者のSimon B. Støvring氏はテキスト編集アプリRunestoneに「Karamba Online Casino」の広告が掲載されたことに不満を表明している。

また著名なiOSアプリ開発者Marco Arment氏は、アップルが広告主に対して、自社のアプリのカテゴリとは異なるアプリに広告を表示させる選択肢を提供しており、ポッドキャストアプリ「Overcast」にギャンブル広告を表示できることを指摘している。

https://twitter.com/marcoarment/status/1585054271627837441?s=20&t=Smd84XATmDSTRNReT_DXEg

またこういった具合に、各アプリに他社のアプリ広告の掲載を許すことは、反競争的(独占禁止法に違反)だとする指摘もある。法律専門家のFlorian Mueller氏は、このシステムが「アプリの実効税率を上げるもう一つの手段。他の人がそこから顧客を誘導するのを避けるため、開発者に自分のアプリページでの広告を買わせる」ためだと主張している。つまり、有料アプリやアプリ内課金から15%あるいは30%の手数料を取ったうえ、広告枠を押し売りするようなものだと述べているのだ。

これらの批判を受け、アップルは26日(米現地時間)に「App Storeの製品ページにおけるギャンブルと他のいくつかのカテゴリに関連する広告を一時停止しています」との声明を米MacRumorsに送っている。それ以上の詳細には言及されていない。

アップルの内部情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、アップルが広告の年間収益として現在の3倍近く、少なくとも100億ドルを目指していると伝えていた。今後はiOS標準のマップアプリやポッドキャストアプリにも広告が表示される可能性があるとのことで、いっそう風当たりが強まる可能性がある。

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