無重力インジケーター

ISSにドッキング成功のStarliner宇宙船、飛行士の代わりにゲームキャラが搭乗

Image: Serg.Korsakov(Twitter)

幾度かの失敗を経て、先週初めてISSへのドッキングに成功したボーイングのStarliner宇宙船。今回は無人でのドッキングだったが、その座席には、宇宙開発ゲーム『カーバルスペースプログラム』のキャラクターがダミーとして座っていたことが明らかとなった。

『カーバルスペースプログラム』は、日本国内ではWindows PC、Mac、Linux向けに販売されており、海外ではPlayStation 4やXbox Oneでもリリースされている、メキシコ産の宇宙開発シミュレーションゲーム。プレイヤーは、カーボル星系の第三惑星カービンを拠点として宇宙船を開発し、宇宙へ飛び立つことが目的。他にも、飛行機や潜水艦といった乗り物を開発して探検調査を行うことや、緑色の顔をしたカービンの住人を操作して搭乗させることもできる。

ロケットの開発や宇宙空間への進出、惑星調査、惑星間移動などの経験を重ねることでポイントを稼ぎ、それによって新たなロケット開発や強化ができることなどが、実際の宇宙開発の学習にもなるため、NASAやそのほか宇宙関連業界の人々に人気のゲームだ。

そして今回、ボーイングが打ち上げたStarliner宇宙船に、このミッションの「無重力インジケーター」として、『カーバルスペースプログラム』のキャラクター「ジェブ」が密かに搭乗していたのだ。

今回、2度目のISSへのドッキングに挑戦して初めて成功したStarlinerだが、船内には生身の飛行士は搭乗せず、かわりに地球の重力から解放された状態で、様々なデータを取得するダミー人形「ロージー・デ・ロケット」が搭乗していた。さらにその相棒として、「ジェブ」のぬいぐるみが持ち込まれていたのだ。

かつて、ソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンは、初の有人宇宙飛行の際、小さな人形を「無重力インジケーター」として持って行き、機体が無重力状態になって宙に浮かぶのを確認した。それ以来、国を問わず宇宙ミッションでは何らかの「無重力インジケーター」が機内に持ち込まれることが多い。今回はその役割を、ジェブ人形が担ったということだ。

『カーバルスペースプログラム』をプレイしたことがある人なら、ジェブは今回の乗組員にふさわしいと思ったことだろう。このゲームでは、プレイヤーは緑色の人々を宇宙空間に運ぶために宇宙船を開発するが、ほとんどの場合最初の挑戦は墜落して失敗に終わり、成功までにさらに数回の失敗を経験する。ボーイングも、Starlinerの最初のISSへのドッキングをソフトウェアの不具合で失敗しており、その後もハードウェア面の不具合などいくつかの問題が見つかったことで、数度の打ち上げ延期を経ていた。

ジェブ人形は、ISSのクルーらとともに数日間を軌道上で過ごし、その後Starlinerに戻って地上へ帰還する予定だ。

ちなみに、ジェブはボーイングの宇宙船に初めて搭乗した「無重力インジケーター」ではない。Starlinerが最初にISSへのドッキングに挑戦した際にも、船内には宇宙服を着たスヌーピー人形がいたとのことだ。また、ゲーム『カーバルスペースプログラム』はその第2作目が2023年にリリース予定だ

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