サイバー犯罪に国境なし

エド・シーランの未発表曲、ハッキングされダークウェブで販売。犯人に18ヶ月の懲役刑

Image:yakub88/Shutterstock.com

英国のポップシンガー、エド・シーランに関連する何らかのクラウドアカウントをハッキングし、未発表曲2曲を盗み出してダークウェブで売りさばいていたとして、8月に逮捕されていた23歳の青年Adrian Kwiatkowski氏に対して18ヶ月の懲役刑が言い渡された。

ことの発端は2019年、米国の複数のミュージシャンのマネージメントが、ニューヨーク地方検事に報告したのがきっかけだ。Spirdarkと呼ばれる人物が、ミュージシャンが使用するクラウドストレージのアカウントをハッキングし、不法取得したコンテンツを販売しているとのことだった。

調査の結果、当局はこのハッカーが暗号通貨の口座開設に使ったメールアドレスから、Kwiatkowskiの名に到達した。さらにハッキングに使われたIPアドレスが本人の住所と一致したことが決め手となり、SpirdarkことKwiatkowski氏は、2019年9月にロンドン市警によって逮捕された。

容疑にはエド・シーランの楽曲のほか、ラッパーのリル・ウージ・ヴァートの未発表曲12曲の販売も含まれている。逮捕当時にこの青年が所持していたMacの中には、シーランやヴァートを含む565曲のオーディオファイルが保存されていた。また後の捜査により、Kwiatkowski氏の自宅にあったストレージからは、合計89人のアーティストの未完成または未発表の楽曲1263曲が発見されている。それらのなかにはフランク・オーシャンやポスト・マローンの名前もあったという。

Kwiatkowski氏は几帳面な性格なのか、楽曲を収めたストレージには楽曲販売で得たビットコインの保管場所のほか、ミュージシャンのクラウドアカウントをハッキングした手法をまとめた文書が保存されていたとのこと。ロンドン市警によると、冒頭の2アーティストの楽曲販売で得た金額は13万1000ポンドで、日本円に換算すると約2210万円(記事執筆時点)にのぼる。

今年8月の裁判でKwiatkowski氏は、音楽データファイルへの無許可アクセス3件、著作権保護素材の販売14件などの容疑すべてと、さらに楽曲販売で暗号通貨を得たことを認めている。

捜査に携わったDaryl Fryatt刑事は、青年は優れたコンピュータースキルを持っていたが、それを不法な目的で使ってしまったことが残念だとしつつ「彼は大勢のアーティストとそのプロダクションに多大な経済的損害を与えたのみならず、彼らの作品をリリースする機会をも奪った」と述べた。またマンハッタン地区検察官のAlvin Bragg Jr氏は、この事件は「サイバー犯罪に国境はない」ことを示すものだとコメントしている。

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