1.461秒の記録を伝える1分56秒の動画が見もの
EVで時速100kmまで1.461秒、世界記録更新。独大学生チーム
独シュツットガルト大学のGreenTeamと称する学生チームが、静止した電気自動車が時速100kmに到達するまでの時間を競うタイムアタックを行い、わずか1.461秒という記録を叩き出した。
GreenTeamは約1年前から、このためのマシン「E0711」の開発を進めてきた。カーボンファイバーで作られたコックピットは、4つの車輪すべてにモーターを装備し、180kW(242馬力)の出力を実現している。
実はシュツットガルト大学が、この記録を更新するのは初めてではない。GreenTeamは2012年にも、当時の世界記録2.681秒を記録している。この記録はオランダのデルフト工科大学とスイスのETHチューリッヒ/AMZ合同のGrimselというチームに塗り替えられたものの、GreenTeamは2015年に1.779秒で王座を取り戻した。Grimselも負けてはおらず、2016年に1.513秒で再度逆転。その後は記録を塗り替える者が現れなかった。
今回の記録更新に際し、GreenTeamの初代会長であるパヴェル・ポヴォルニ氏は「世界記録を更新してドイツに持ち帰れたことを嬉しく思います」と述べている。
1.5秒未満という短時間で時速100kmに到達するというのは、一般的な自動車ではありえないことであり、そこには危険も潜んでいる。チームは7月に行ったテストで、走行中にマシンが故障し、トラック脇のタイヤバリアにマシンが衝突する事故を起こした。幸いにもドライバーに怪我はなかったものの、マシンは酷く損傷してしまった。
そして、悪い出来事というのは続くもの。チームがマシンを修復してようやく世界記録に挑戦するという前夜に、またもマシンに不具合が発見された。これで記録への挑戦は、3週間延期せざるを得なくなった。
しかし入念な整備を経て迎えたアタックの日は、すべてが上手くいったようだ。冒頭に述べたように、マシンは瞬く間に時速100kmに到達し、見事新記録を樹立した。見ている側からすればあっけないほどの短時間であり、驚く暇もなかったかもしれない。
これほどの急加速では、ドライバーの身体には2.5Gもの加速度が加わるとされる。これは宇宙船が大気圏に再突入する際に、飛行士が受ける力に相当するとのこと。またマシンのタイヤを空転させずに、最大限のトルクを路面に伝える技術も必要で、ドライバーには相当なスキルが必要だったと推測される。ただ今回の記録達成の動画は、本人たちの気持ちがこもりすぎて、肝心のタイムアタックの様子がいまいちわかりにくい。
またGreenTeamは、「Formula Student(Formula SAE/学生フォーミュラ)」の国際学生デザインコンペティションにも定期的に参加している。そこでは加速や耐久性といった、さまざまな分野で評価される電気レーシングカーを独自に設計開発している。
- Source: University of Stuttgart
- via: Interesting Engineering