【連載】西田宗千佳のネクストゲート 第12回

進化した「Pixel 7」レビュー。完成度の高い“今のGoogleらしい”スマホ

西田宗千佳

Google「Pixel 7」。試用したのは「オブシディアン」。価格は8万2500円から

Googleの新スマートフォン「Pixel 7」「Pixel 7 Pro」が本日13日に発売となる。このPixel 7シリーズだが、先週開催された発表会には同社のスンダー・ピチャイCEOも登場し、相当な力の入れようだった。

では、今回のPixelシリーズはどんな感じに仕上がっているのか? そこをチェックしていこう。

10月7日に都内で開かれたPixel 7・Pixel Watchの発表会には、同社のスンダー・ピチャイCEOも登場

望遠とマクロにこだわるなら「7 Pro」、そうでないなら「7」がおすすめ

Pixel 7シリーズには、カメラなどをリッチな仕様にした “Pro” と、多少コストを抑えた “スタンダード” の2ラインがある。

「Pixel 7 Pro」。色は「スノー」。価格は12万4300円から

今回は両方の実機が手元にあるが、主にスタンダードな「Pixel 7」をメインに取りあげていく。理由はシンプル。使ってみて「とにかく望遠とマクロにこだわる、ということでないなら、Pixel 7の方がコストパフォーマンスはいい」と感じたからだ。

カメラ以外の両者の主な違いは、ディスプレイとメインメモリーの大きさになる。Pixel 7は他社のスタンダードモデルよりも少し大型の6.3インチなので、さらに大きい6.7インチにこだわりがない限り、Pixel 7でも満足できるだろう。

なにより、Pixel 7シリーズの特徴となる機能の多くは、Pixel 7もPixel 7 Proも同じように実装している。さらに価格が4万円以上も違うので、機能的なところを考えても、Pixel 7を基準に考えて良さそうだ。

左から、Pixel 7、6a、6 Pro、7 Pro。6系と7系でかなりデザインが変わったのがわかる

デザインを「Pixel 6」世代と比較してみると、特徴的なカメラ周囲の「バー」は健在であるものの、その存在感は少し薄れ、より自然な感じになっている。これはとても好ましい。前モデルはどれもブラックのバーだったが、Pixel 7ではモデルやカラーによって色が変わったのも良い変更だと思う。

Pixel 6 Pro(左)とPixel 7 Pro(右)のカメラ部をクローズアップ
同じくPixel 7(左)とPixel 6(右)のカメラ部をクローズアップ

「Tensor G2」の効果が表れている“カメラ”

では、Pixel 7における大きな特徴とは何か。それはやはり、Googleの独自設計SoC「Google Tensor G2」を活かした機能にある。なかでも、とてもわかりやすいのは、やはりカメラだろう。

実際、写真自体の画質も上がっている。それはある意味、今のスマホとして当然の競争であり、進化といえるだろう。

以下は、Pixel 6、6 Pro、6a、7、7 Proの夜景写真だ。7系はより鮮明になっており、特に7 Proは違いがよくわかる。

Pixel 7
Pixel 6
Pixel 6a
Pixel 7 Pro
Pixel 6 Pro

さらにPixel 7 Proには、マクロ撮影を強化した「マクロ フォーカス」が搭載されている。これは過去モデルだけでなくPixel 7にもないもので、7 Proを選ぶ1つの理由になる。ただしGalaxyやiPhoneなど、他社のハイエンド機では、すでに導入されていた機能だ。

Pixel 7 Pro(左)では寄って撮影してもピントが合うが、Pixel 6 Pro(左)ではピントが合わない
「マクロ フォーカス」があるPixel 7 Proの方(右側)はちゃんとピントが合った写真に

「なるほど」と思ったのが、ズームの使いやすさだ。Pixelは伝統的にデジタルズーム画質にこだわっている。レンズ/センサー切り替えによる光学ズームも活用しているが、デジタル補正でズーム画質を上げ、レンズの性能以上に「寄れる」ことをアピールしている。

一方、デジタルで10倍以上のズームを使う場合、手ブレが酷くて被写体を狙いにくいという課題があった。これは、多くの「高倍率ズーム」を売りにするスマホ全体が抱えやすい欠点である。

だがPixel 7では、手ブレ補正機能がかなり強力に効くようになったので、撮影画面のブレが減り、撮りやすくなった。ズームした直後に安定しない点はいままで通りなのだが、数秒以内に安定する。

「ボケ補整」は、万能ではないが効果は明白

Pixel 7では「ボケ調整」を新たに搭載するが、本体で撮影した写真だけでなく、他のデバイスで撮影した写真も利用可能となっている。使い方は、画像をPCや別のスマホからGoogleフォトに登録し、改めてPixel 7内の「Googleフォト」アプリから写真を選び、「ボケ補整」を選ぶだけだ。

効果はなかなか素晴らしい。過去の家族写真はもちろんだが、筆者の場合は、仕事で急いで撮ったのに大事なカットがボケていて使えない……というミスも多い。思い出も仕事上のミスも、オンデバイスAIが帳消しにしてくれると考えたら、これはかなり魅力的ではないだろうか。


上記は、ボケが出ている写真を、それぞれPixel 7で補正(効果は最大)したもの。すべてのボケが消えるわけではないが、パッと見やすくて「そこまで失敗していない写真」くらいにはなったはずだ。ちなみにどれも、Pixel 7で撮影した写真ではない。

また、使い勝手に関わる部分としては、Pixel 7では「顔認証」と「指紋認証」の両方が搭載されているのも重要だ。Pixel 6には指紋認証は搭載されているが顔認証はなく、使い勝手の面でマイナスでもあった。

さらに指紋認証が終わるまでに、長く時間がかかるのも気になっていた。だが今回は、認識スピードの問題もかなり解決されたように思う。

ベンチマークは計測できなかったが……

残念ながら、試用期間中にはGoogle Play上に「Pixel 7シリーズで動作して、しかも筆者が信頼を置いているベンチマークアプリ」が公開されていなかった。そのため、数値で性能を比較するのはまたの機会にしておく。

なのでこれは予測だが、Pixel 7のTensor G2も、Pixel 6の時と同じように「十分な性能ではあるが、ハイエンドの中ではトップ性能ではない」と考えられる。

でもそれは、そこまで大きなマイナスではない。CPUやGPUだけではなく、機械学習の推論(いわゆるAI系処理)を高速化するTPUの重視が、Google Tensorシリーズの特徴でもある。その部分は企業によって特性が違うため、「推論の効率まで含めてSoCを評価する」のはかなり難しい状況にある。

そのあたりは、前述のような「オンデバイスAIを使った機能」の実用性で判断した方がいいだろう。事実として、前述のような写真関連機能は、他社製品にはまだない。

どこまで「新機種だけの機能」か。クラウドとオンデバイスAIの比率も要検討

一方で少し面倒なのは、現在のGoogleが提供する機能の場合、「どれが最新のPixelだけ使えて、どれが古いPixelでも使えて、どれが普通のAndroidでも可能か」がすぐにわからない点だ。Pixel 7の特徴に見えても、その後Pixel 6などに実装された……というパターンがありうるので、その点はご了承いただきたい。

さらに、「本当にこれはオンデバイスAIでやるべきか」と思うこともある。画像のボケ補正については、使い勝手だけを考えるなら、「Webサービスとして提供されているGoogleフォトで、クラウドサービスとして提供」する方が便利に思える。

ボケ調整は「Googleフォト」アプリ内からのみ行える

だがおそらく、現状ではそれだけのパワーを全てのGoogleフォト利用者に提供するのが難しく、一方で、十分なオンデバイスAIをもつPixel 7では差別化要因として提供が可能だった……というような事情があるのだろう。そういう部分も含め、Pixel 7は「今のGoogleらしい」スマホであり、完成度も高い。

これが、他のハイエンドスマホや過去のPixelの買取で「実質無料」で手に入るとなると、バーゲンセールだとすら思える。それだけGoogleにとって、「Pixelのユーザーを日本で増やし、定着させる」ことが重要だ、ということなのだろう。

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