広告ブロッカーなどにも影響

Chromeの拡張機能仕様「Manifest V3」、完全移行は2024年1月に延期

Image:monticello/shutterstock.com

Googleは9月28日(現地時間)、同社の公式ブログにてChromeにおける「Manifest V3」への移行スケジュール詳細を公開した。これまでは、2023年1月に移行が予定されていたが、早くても2023年6月にずれ込み、その後2024年1月には従来のManifest V2が利用できなくなる予定だ。

なお、企業向けに提供されている「ExtensionManifestV2Availability」ポリシーでは、Manifest V2のサポートが2024年1月まで延長される。

「Manifest V3」は、Chromeでの採用が予定されている拡張機能の新仕様。従来バージョンよりも安全性やパフォーマンス、プライバシー保護が向上している。Chromeの拡張機能は、しばしば不正なインストールや必要以上にユーザーの個人情報を取得するなどの問題が起きていたが、Manifest V3はこうしたことを防ぎやすい仕様となっている。

こうしたプライバシーや、セキュリティの矢面に立っているのが「Web Request API」の仕様だ。このAPIは、広告ブロッカーなどにも広く使われているものだが、従来の動作ではユーザーがなんらかのサイトにアクセスした場合、Web Request APIがすべてのリクエストを拡張機能に送信してしまう。

つまり、電子メールや写真、その他の個人情報などすべてのデータは拡張機能に渡されるので、悪意があれば簡単に収集されてしまう。また、拡張機能での処理が挟まることで、コンテンツが表示されるまでに時間がかかるという問題もある。

これに対してManifest V3では、Web Request APIに代わるものとして、「Declarative Net Request API」が導入される。Declarative Net Request APIは、拡張機能があらかじめ処理するルールをChromeに登録しておき、それに合致するリクエストがあった場合には、Chromeがルールに従って処理を実行する。処理の主体が拡張機能ではなくChromeになるわけだ。これなら、拡張機能がデータを収集することもなく、また、処理自体をChromeが行うのでパフォーマンスの面でも有利になる。

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ただし、Google自身が「Web Request API は広告ブロッカーを含む多くの一般的な拡張機能で使用されており、これは物議を醸す変更だ」と語っている通り、影響は非常に大きなものとなる。

このため、まず2023年1月以降にChrome 112のCanary、Dev、BetaチャネルでManifest V2を無効化するテストを開始。6月のChrome 115では、Stableチャネルでもテストが開始するというように段階的に無効化が実施される。Googleは開発者に対して、これらのChromeがリリースされるよりも前にManifest V3へ移行するよう呼び掛けている。

これに合わせてChromeウェブストアでは、6月にManifest V2を利用する拡張機能が「Public」にはできなくなり、「Unlisted」の扱いとなる。その後、2024年1月に「ExtensionManifestV2Availability」ポリシーが期限切れになったあと、Manifest V2拡張機能はすべてストアから削除されるようだ。

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