アップルと提携するGlobalstarの日本法人はすでに存在
iPhone 14シリーズの「衛星経由の緊急SOS」、利用できる国を2022年内に拡大か
iPhone 14シリーズの新機能「衛星経由の緊急SOS」は、まず今年11月に米国とカナダのユーザー向けに提供される予定だ。それ以降の展開は発表されていないが、アップルが早ければ2022年後半にも他の国にこの機能を導入する計画を進めているとの噂が報じられている。
この噂の発信源は、スイスのアップル関連情報サイトMacPrimeだ。今回の報告では、どの国や地域が対象になるかは特定されていないが、2022年末から2023年にかけて「衛星経由のSOS機能を利用できる国」が発表される予定とのことだ。
記事執筆時点では、アップルが本サービスをどのように収益化するのか、詳細はまだ分かっていない。今のところ公式には、米国とカナダのユーザーが「2年間無料で利用することができる」と説明されている。つまり、その後に有料化するか、ないしは無料で提供され続ける可能性もあるわけだ。
衛星経由の緊急SOSは、通信キャリアの電波やWi-Fiが圏外の地域で、衛星を経由して緊急時の助けを呼べるシステムだ。当面は「衛星経由のSOS」だけとされ、リアルタイムの通信・通話はできず、連絡先もアップルのトレーニングを受けた専門スタッフのいるセンターに限られている。その性質上、iPhone 14シリーズのレビューでも本機能を“実用”したレビュアーは見かけないようだ。
先日の「Far Out」イベントの基調講演でも、まずiPhoneを天にかざして衛星を発見するしくみが説明されていた。ただし、空がよく見える屋外にいる必要があり、しかも帯域が限られているため、テキストメッセージを送るだけでも技術的に難しい、とのこと。衛星との位置合わせのために、どこに向ければ接続できるか、接続を維持できるかを教えるソフトも用意されているという。
さらに接続を確立した後も、携帯電話ネットワークより帯域幅が狭いため、メッセージのサイズを3分の1に圧縮するアルゴリズムも開発したとのことだった。
アップルと提携する衛星通信サービスプロバイダのGlobalstarは、衛星インフラに4億5000万ドル(約645億円)を投資すると明かしている。そのうち95%をアップルが負担するというのだから、野心の大きさを窺うこともできるだろう。
そしてGlobalstarの日本法人は、実はすでに存在している。日本でも遠からず、衛星経由の緊急SOSが利用可能となるかもしれない。