有人飛行でなかったのは不幸中の幸い

ブルーオリジンの無人ロケット、打上げ直後に墜落。積荷は分離して無事着陸

Image:Blue Origin

9月12日、ジェフ・ベゾスが創設した米宇宙開発企業のブルーオリジンは、再使用型ロケット「New Shepard」(ニューシェパード)の無人打ち上げミッション「NS-23」を実施した。

ブルーオリジンにとって今年4回目、無人ミッションとしては約1年ぶりの打ち上げだったが、飛行開始からわずか1分強が過ぎたころ、ブースターに明らかな異常が発生し、先端に搭載されたカプセル部分は飛行を中断。脱出システムが作動したことにより、ブースターから分離して無事に着陸したとのこと。なおブースター部分は墜落して地上に衝突したものの、怪我人などは出ていないと同社は報告している。

今回の打ち上げでは、ブースターの先端に搭載された、輸送と研究向けの無人飛行専用カプセル「RSS H.G. Wells」に載せた数十のペイロードを弾道軌道に届ける予定だった。しかし今回のフライトでは、おそらく無重力状態は数分もなかっただろう。

New Shepardロケットは、ブースター部に搭載するBE-3エンジン1基の点火で始まり、約6秒後にすべて正常であることが確認されて、リフトオフを実行した。そして約1分後に最大出力(Max-Q)に到達。予定どおりなら、このあと打ち上げ後3分の時点まで上昇を続け、カプセルを分離して船内に微小重力環境がもたらされ、最大5分間継続することになっていた。

しかし、実際のところはブースターがMax-Qに到達した直後に異常が発生し、カプセルの緊急脱出が実行された。ブルーオリジンの担当者はライブ配信で「これは予定外のことで、まだ詳細は分かっていません。しかし、我々のクルーカプセルは無事に脱出することができたので、着陸するまでその様子を追っていきます。ご覧の通り、ドローグパラシュートが展開され、次にメインパラシュートが引き出される予定です」と説明していた。

Image:Blue Origin

無事に地上への帰還を果たしたカプセルそのものに、故障はなかったと伝えられているのは不幸中の幸いかもしれない。これが有人飛行だったとしても、おそらく中の人員は無事に帰還できていただろう、とArs TechnicaのEric Burger氏は述べている

なお、カプセルにはNASAが資金提供した研究機器も積み込んでいた。しかしNASAは、現時点で何が原因でこういうことになったのは把握しておらず、推測するのも無駄だとしている。一方でブルーオリジンはこの事故原因を調査し、米連邦航空局(FAA)がその調査結果を受理するまでは、New Shepardが次回の打ち上げを行うことはできないとEngadgetは伝えている。

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