実用性?知らんがな
テスラ新型Roadster公開。「ガス噴射で宙返り」デモで観衆沸く

テスラは10月15日、開発を発表して以来長らく表に出てくることのなかった新型スポーツEV、「Roadster」を公開するイベントを実施した。
登場したマシンは、2017年に公開されたプロトタイプが纏っていた流れるようなデザインから一転、ランボルギーニに似た直線基調のデザインとなった。
そして、このマシンは、兼ねてよりマスク氏が公言していたものや最近になって特許申請情報などからうわさが出ていたものを含め3つの特筆すべき機能を備えている。
まず最初は、かのゴードン・マレーが1978年に開発したF1マシン、ブラバムBT46や1970年のCan-Amシリーズに登場したシャパラル・2J、そして近年ではMcMurtryが市販も始めたSpéirlingなどと同様に車体下面から協力なファンで空気を吸い出すサクションシステムで、掃除機のように地面に吸い付くことでダウンフォースを生み出すファンカー機能だ。

この機能と、アクティブリアウィングを組み合わせた「トラックモード」を使用すると、車体は車高を下げ、「F1レベルに迫る」ダウフォースを発生するという。
2つ目は、SpaceXが持つ、ロケットや宇宙船の姿勢制御技術を使用した、スラスターシステムの搭載だ。この機能は、マシンが空中で天地を正常に保ち、地面に軟着陸させることができる。デモンストレーションでは、天地が逆になった状態からまるでネコのように反転して着地したり、前方に並んだクルマやトラックに突進し、ガス噴射でジャンプして飛び越えると行ったアクロバットも披露した。
そして3つ目は、ガスを後方に向けて噴射することで実現する急加速機能。これにより、テスラRoadsterはペットボトルロケットを水平に装着したミニカーの如く、とてつもないスタートダッシュが可能になる。デモでは後方スラスター加速を実際にデモンストレーションし、その場で0-60mph加速のタイムを計測して「0.81秒を記録した」とテスラは主張した。ただ、このタイムが正式に計測されていたかは不明だ。

なお、このRoadsterの一連のデモは人間のドライバーによって実演されたものではない。運転席にはテスラのヒューマノイドロボット、Optimusが座っていたが、これもダミーであり、実際のところはすべて事前にプログラムされた動作だった。またテスラはデモ用Roadsterの車内空間をほぼすべて炭素繊維でカバーした圧力容器(COPV)で満たしていた。当然ながらガスの量が多いほど飛行可能時間(飛翔という方が正しいかもしれない)が長くなるためだ。
イベントに登壇したテスラCEOのイーロン・マスク氏は、新型Roadsterの生産を2028年に開始すると述べた。そして、2017年当時に受け付けていた予約注文に間に合わなかった人は、いまから5000ドル(日本では68万円)の返金可能なデポジット(注文料)とともに予約ができるとのことだ。
なお、Roadsterのベースモデルとなる「Performance」パッケージを予約したい場合は、予約後10日以内にさらに4万5000ドル(日本では614万円)を支払う必要があるという(2017年にテスラが要求した予約金5万ドルと同額になる)。このパッケージはアクティブエアロダイナミクス(可変リアウィング)と「マルチモードサクションシステム」を搭載。0-60mph加速の公称値は1.6秒未満だという。
一方、「Performance」に後方コールドスラスターを追加した「Thrust」パッケージは、レース仕様になるとテスラは記している。購入を希望する場合は、やはり予約後10日以内に24万5000ドル(約3871万円、日本のウェブサイトには予約の選択肢がない模様)をテスラに収めなければならない。
さらに、姿勢制御用コールドガススラスター(フルフライトシステム)を搭載した、乗車定員1名の「Rocket」は価格が示されておらず、招待制となる。また公道走行も承認されていないため、これは実質的に、インフルエンサー向けのデモカー的な扱いになるのかもしれない。
なお、今回発表されたRoadsterは2017年のプロトタイプから仕様の一部が変更されている。テスラは当初、航続距離620マイル、最高速度250mph以上、2+2レイアウトで4人乗りになると発表していた。しかし、新型車の現在の仕様は、航続距離300マイル以上、ロケットトリムで最高速度230mph以上、最大2人乗りになっている。
航続距離が当初テスラが約束した数値のほぼ半分に短縮され、座席数も2席減ったことについては、プロトタイプの時点で予約金を支払い、10年近く辛抱強く待ってきた人の中から不満の声があがる可能性もある。またコールドガススラスターを正しく使って事故が起きたときに、保証が効くのか、このクルマに合う自動車保険があるのかも気になるところだ。
