「手書きコードはもう使わない」と社内メッセージで宣言したそうです
Epic Games、ゲーム開発の「AIファースト」化推進でディズニー向け新作タイトルの発売を延期

人気ゲーム『Fortnite(フォートナイト)』の開発元Epic Gamesは、ゲーム開発の主要な部分に「AIファースト」の方針を導入するつもりのようだ。
Bloombergによると同社はゲーム開発のより多くの場面でAIを活用するため、ディズニーとの提携で開発している新作ゲームの発売を延期したという。
このタイトルはEpic Gamesがディズニーとの提携の一環として開発している、マーベルとスター・ウォーズのキャラクターが登場するシューティングゲームで、当初は2026年11月に発売が予定され、後に2027年3月に延期されていたものとみられる。同作は2027年3月の発売を予定していたが、現在は新たな発売日が決まっていないとBloombergは報じている。
このゲームの開発責任者は、開発チームに対して宛てたメッセージのなかで、「手書きのコードはもう使わない」とし、ゲーム内のアートやアセットを「全面的にAIを活用したワークフローで生成する」よう指示したという。
Epic GamesのCEO、ティム・スウィーニー氏は、Bloombergがこの件を報じた直後にSNSに投稿し、「Epicでは現在、AIの活用を最大限に加速させるべく、開発者の配置転換を行うという大規模な方向転換を行っている」「その目的は、少ない人数で同じことを行うことではなく、社内の全員が『より多く』かつ『より優れた』ものを開発できるようにし、その恩恵をUnrealを利用するすべてのチームにもたらすことだ」と述べた。
スウィーニー氏は以前より、ゲーム開発にAIを導入することに対して積極的な姿勢を見せてきた。昨年11月には、スウィーニー氏は大手ゲーム販売プラットフォームのSteamが義務付けた、ゲーム開発においてAIを使用したか否かを開示するためのタグ表示に対して「無意味だ」とし、「将来的には、ほぼすべてのゲーム開発に」AIツールが関与するようになると予言している。
また今年6月にも、ゲーム情報サイトのIGNに対し、AI技術によって「クリエイターからみれば非常にシンプルな設定で無限の会話が可能な」ゲームを作ることが可能になり、「少人数のチームでも膨大な数のキャラクターや広大でインタラクティブな世界を備えたゲームを制作できるようになる」と述べている。
ただ、Epic Gamesとディズニーには、過去にAI絡みで失敗した事例もある。昨年5月、同社は代表作である『Fortnite(フォートナイト)』とディズニーのコラボレーションとして、ゲームに映画『スター・ウォーズ』の悪役キャラクター、ダース・ベイダーを登場させた。
シスの暗黒卿は、このゲーム内でAI音声によって会話するということで注目を集めた。ところが、一部のプレイヤーらは実際のゲームプレイのなかで暗黒卿に不適切な発言をさせるように仕向け、その動画をSNS上で公開した。そして、それらの動画がまたたく間に拡散されたことを受け、Epic Gamesは暗黒卿の威厳を取り戻すためのパッチをわずか数時間後に配信しなければならかった。
ゲーム開発におけるAIの使用については、一般のプレイヤーらからも強い反発がある。ゲーム開発の現場で働く人々にとっても、AIの役割の拡大は自らの将来に関わるかもしれない深刻な問題だ。
今年のゲーム開発者イベントGDC Festival of Gamingでは、その開催前に2300人以上のゲーム業界関係者を対象にアンケート調査が行われた。その結果では、調査対象となったゲーム業界関係者全体の36%が、すでに業務の一部として生成AIツールを使っていることが示されている。
そして、上記のなかの業務で生成AIツールを使っていると答えた者のうち30%がゲーム開発スタジオの従業員だった。またこれまでにAIツールを使用した場面としては、使用者の81%が事前調査やブレインストーミングに使用したとの回答が最も多かった。とはいえ、ゲームのプロトタイピング(35%)やコーディング支援(47%)といった、より直接的な用途にもすでにAIツールが使われていることもアンケート結果は示していた。
この調査では他にも、回答した人々の52%がAIツールの使用は業界にに悪影響を与えていると考えていることが明らかにされている。これは2025年の調査のときの30%から大きく増加している。
- Source: Bloomberg
- via: Ars Technica Engadget
