今のところ実用性は乏しそう

Xbox Series XでPS5ゲームが動く? 実験的エミュレーター「PS5X」の動画が公開

多根清史

Image:Devran Cosmo Uenal

「Xboxハード上でPlayStationのゲームを動かす」という異例のゲーム機クロスオーバーを、開発者のDevran Cosmo Uenal氏が試み、その動画をYouTube上で公開した。

Uenal氏は動画の注釈で、オープンソースのPS5エミュレーター「KytyPS5」をXbox向けに移植した実験的なバージョン「PS5X」を、Xbox Series Xの開発者モードで直接実行したと説明している。

しかし、元のPC版で使われているVulkanは「(Xboxでは)サポートされていないため、グラフィックス処理をDirectXに対応させる必要」があったという。VulkanもDirectXも、ゲームからGPUに描画処理を指示するための仕組みであり、要するに共通言語が違うため、Xbox向けに描画処理を「翻訳」する必要があったというわけだ。

動画内では、Xbox Series X上でPS5版の『Gex Trilogy』『Hellboy Web of Wyrd』『Marvel Cosmic Invasion』『Quake 2』の選択肢が表示されている。いずれもグラフィック負荷が比較的低いゲームである。しかもXbox版が存在するため、今回の実験に実用上のメリットがあるわけではない。

実際にUenal氏は『Quake II』をプレイしており、大部分ではおおむね25~45fps程度で動作しているものの、何度か大きなカクつきが発生している。同氏も注釈で「まだ初期段階であり、互換性は限られている」と説明している。

別の動画では、Uenal氏はXbox上でPS5のホーム画面らしきものを動かしており、そこにはPS5版『Grand Theft Auto V(GTA V)』の名前も確認できる。

今月初めには、PC版エミュレーターで『GTA V』のPS5版を快適に動かす試みが急速に進んでいると報じられている。だが、この動画の画面だけで「PS5X」GTA VがXbox Series X上で実際にプレイ可能になったと思うのは早計だろう。

なお、あるハードウェアをソフトウェア的に別のハードウェア上で再現するエミュレーターというプログラムは、それを動作させる上で必要なファームウェアやゲームプログラムの複製・配布・取得といった行為において適法か否かを問われることが多い。国や地域によっても異なるが、エミュレーターというソフトウェアの存在そのものと、そこで使用するゲームデータの取得・複製、技術的保護手段の回避などは別の問題として考える必要がある。

たとえ正規に購入したゲームであっても、ゲームデータの作成・複製や、暗号化などの技術的保護手段を回避する行為については、国や具体的な方法によって法的な扱いが異なるため、単純に「購入済みなら問題ない」とはいえない。

なお、今回の試みではUenal氏は「ファームウェアや復号キーは含まれていない」と説明している。ただし、それだけでゲームデータの入手・作成方法を含む利用全体の適法性が判断できるわけではない。

現時点では、PS5Xはあくまで互換性を検証する初期段階の技術実証と見るのが適切だろう。今後、対応タイトルや安定性がどこまで向上するのかが注目される。

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