【連載】佐野正弘のITインサイト 第223回

どう進化した?「Pixel 11 シリーズ」4機種レビュー。着実な改善と残された2つの課題

佐野正弘

Googleが2026年8月12日に発表した新しいスマートフォン「Pixel 11」シリーズ。今回も従来のモデル展開を踏襲し、スタンダードモデルの「Pixel 11」、上位モデルの「Pxiel 11 Pro」とその大画面モデル「Pixel 11 Pro XL」、そして横折りタイプの折り畳みモデル「Pixel 11 Pro Fold」の4機種が展開されることとなった。

今回はそれら4機種をお借りできたので、各モデルの違いや新しい機能、前機種「Pixel 10」シリーズと比べた進化点などを、実機から実際に確認してみたいと思う。ただし実際に試すことができたのはあくまで発売前の短期間であり、現時点では利用できない機能もいくつかあることから、あくまで大まかな概要レビューとなることはご留意頂きたい。

新たに発表された「Pixel 11」シリーズ4機種。スタンダードモデル1機種と「Pro」モデル2機種、Proモデルの折り畳み端末が1機種と、構成は従来と大きく変わらない

まずは外観について確認すると、Pixel 11 ProとPixel 11 Pro XLは前機種「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」と比べ、やや重量が軽くなっている以外に大きな違いはない。それゆえ大きく変化しているのは他の2機種となるのだが、その変化点にはいくつか違いがある。

まずPixel 11に関してだが、大きく変わったのはカメラバンプ、要はカメラ部分の出っ張りである。Pixelシリーズは低価格の「a」が付くモデルはカメラの出っ張りがない、フラットなデザインに変化しているものの、スタンダードモデル以上では「Pixel 9」以降、カメラの出っ張りが非常に目立つデザインとなっている。

「Pixel 11」の背面。カメラバンプが大幅に抑えられ、出っ張りがかなり低くなった

だがPixel 11では、そのカメラバンプが40%削減され、かなり低くなっている。ほぼ完全なフラットデザインを実現した「Pixel 10a」と比べれば出っ張ってはいるのだが、Pixel 11 Proと比べるとバンプの威圧感はかなり軽減され、目立ちにくく扱いやすいデザインになったと感じる。

「Pixel 11 Pro」(左)とPixel 11(中央)、「Pixel 10a」(右)との比較。ほぼフラットなPixel 10aと比べればバンプはあるが、バンプの主張がかなり強いPixel 11 Proと比べればかなり抑えられていることが分かる

そしてもう1つ、外観が変化したのがPixel 11 Pro Foldである。前機種「Pixel 10 Pro Fold」の厚さが開いた状態で5.2mm、閉じた状態で10.8mmだったのに対し、Pixel 11 Pro Foldは開いた状態で5mm、閉じた状態で10.1mmとなり、閉じた状態でも一般的なスマートフォンにより近い厚さになったのだ。

Pixel 11 Pro Foldを開いた状態で、側面から見たところ。「Galaxy Z Fold8 Ultra」などと比べれば厚みはあるが、それでも確実に薄くなったと感じる

それに加えて重量も239gと、Pixel 10 Pro Foldの258gから20g近く軽量化がなされている。Googleはこれまで、折り畳みスマートフォンでは薄さよりも堅牢性を重視してきたが、韓国サムスン電子が「Galaxy Z Fold7」を投入して以降、折り畳みスマートフォンでも薄さや軽さを求める声が強まったこともあってか、薄型化にも重きを置くようになったといえる。

Pixel 11 Pro Foldを折り畳んだ状態で持ったところ。200gを超えるだけにそれなりの重さは感じるが、それでも1cm程度の薄さになったことで持ちやすくなった

ただ薄型化によって堅牢性が失われた訳ではなく、Pixel 10 Pro Foldで対応していたIP68の防水・防塵性能には引き続き対応。さらに背面カバーには、ひび割れに強い複合素材を用いて3倍の強度を実現したとしており、折り畳みスマートフォンを安心して使えることには引き続き注力がなされている。

シリーズを通して比較すると、スタンダードモデルのPixel 11は光沢感のある素材、Proモデル3機種はいずれもマットな素材を採用している点は変わらない。ただ、全機種共にワイヤレス充電が「Qi2.2」規格に対応し、新たに最大25Wでの充電が可能になった。

さらにProモデルでは、新たにカメラ部分のLEDが光ることで、背面にして置いた状態でも通知やGeminiの応答などを確認できる「HiLight」機能が追加され、より利便性が高まっている。

「Pro」が付く3モデルはいずれも、カメラ部分のLEDが光って通知する「HiLight」機能が新たに搭載されている

またバータイプの3機種で比べると、Pixel 11 Pro XLは6.8インチ、Pixel 11とPixel 11 Proは6.3インチと画面サイズに違いがある点も、これまでのシリーズと共通している。それゆえPixel 10シリーズ同様、サイズ感が近しいPixel 11とPixel 11 Proはどちらを選ぶべきなのか?という点は多くの人が疑問を抱くところだろう。

バータイプの3機種を並べて比較。「Pixel 11 Pro XL」は画面サイズの大きさに特徴があるが、Pixel 11とPixel 11 Proはサイズ自体に大きな違いはない

両機種は画面サイズが同じというだけでなく、背面カメラが広角・超広角・望遠の3眼構成だという点でも共通しているだけに、一層判断が難しい。ただ両者のカメラ性能には違いがあり、Pixel 11は広角カメラが4800万画素/F値1.7、超広角カメラが1300万画素/F値2.2、望遠カメラが1080万画素/F値3.1で光学5倍相当の望遠撮影が可能と、基本的にはPixel 10と変わっていない。

Pixel 11(左)とPixel 11 Pro(右)のカメラは共に3眼構成。だがイメージセンサーなどの性能には大きな違いがある

一方のPixel 11 Pro(Pixel 11 Pro XLも共通)は、広角カメラが5000万画素/F値1.68、超広角カメラが4800万画素/F値1.7、望遠カメラが4800万画素/F値2.8で光学5倍相当の望遠撮影が可能と、こちらも前機種Pixel 10 Proと大きく変わってはいない。だが実はイメージセンサーがいくつか変更されており、広角カメラは1/1.3インチ、望遠カメラも1/1.95インチと、従来より大型のセンサーを採用している。

イメージセンサーがアップデートされた、Pixel 11 Proの広角カメラで撮影した写真
同じくイメージセンサーがアップデートされた、Pixel 11 Proの望遠カメラで撮影した写真

その高い性能を生かして望遠カメラでは最大で120倍のデジタルズーム撮影が可能と、100倍デジタルズームまでの対応だったPixel 10 Proと比べ進化している。Pixel 11 Pro/Pixel 11 Pro XLは前機種同様、生成AIを使って写真を鮮明にする「超解像ズームPro」にも対応しているので、120倍ズームで撮影した写真を綺麗な写真に仕上げることが可能だ。

先の望遠カメラの写真から、中央付近の黄色い作業船を120倍のデジタルズームで撮影した写真。生成AIを活用した「超解像ズームPro」を活用することで、粗い写真も綺麗な写真にしてくれる

ちなみにPixel 11 Pro Foldの背面カメラも、3眼構成で広角カメラが4800万画素/F値1.7、超広角カメラが1050万画素/F値2.2、望遠カメラが1080万画素/F値3.1で光学5倍相当の望遠撮影が可能と、こちらもPixel 10 Pro Foldから大きく変わっていないようだ。

Pixel 11 Pro Foldのカメラは3眼構成で、性能もPixel 10 Pro Foldと大きな違いはないようだ

性能面でも違いがある。Pixel 11シリーズ4機種は共に、Google独自の新しいチップセット「Tensor G6」を搭載している点では変わらないものの、Googleが力を入れるAI関連機能を利用する上で重要な、RAMやストレージには違いがある。

Pixel 10シリーズの場合、Pixel 10はRAMが12GB、Pixel 10 Proなど3つのProモデルは16GBという明確な違いがあったのだが、Pixel 11シリーズでは昨今のメモリ高騰を受けてか、やや複雑になっている。

Pixel 11は全モデルでRAMが12GB、Pixel 11 Pro Foldは全モデルでRAMが16GBであるものの、Pixel 11 ProとPixel 11 Pro XLはストレージが256GBのモデルがRAM12GBで、ストレージが512GB/1TBのモデルはRAMが16GBと、違いが設けられているのだ。

それゆえストレージが256GBのモデルを比べた場合、Pixel 11とPixel 11 Proは共にRAMが12GBなので、カメラ性能とデザイン以外に大きな違いを見出せなくなってしまった。

しかも同じ256GBモデルの価格を比べた場合、Pixel 11が13万6800円、Pixel 11 Proが17万4800円と、3万8000円もの価格差があることから、Pixel 11 Proの存在感が従来以上に低下してしまいかねないのが気になる。

そしてもう1つ気になるのが、Pixelシリーズ最大の売りでもあるAI関連機能だ。Pixel 11シリーズでは新たに、短時間の動画を撮影した中から、オンデバイスのAI処理によってプライバシーを確保しながらベストな瞬間を写真として切り出す「マジック キャプチャー」など、カメラに関連したAI機能が発売当初から利用できる。

「マジック キャプチャー」で撮影中の様子(左)、Googleフォトで右上にアイコンの付いた写真が、この機能で撮られたもの。笑顔や大きなアクションなど、特徴的なシーンを多く捉える傾向にあるようだ(右)

ただAI関連で最大の特徴となっている「Gemini Intelligence」に関しては、発売当初から全ての機能が利用できる訳ではない。実際、話した内容から余分な要素を省いて正確な文字起こしをしてくれる「AI音声入力」などは利用できたが、Geminiに指示することでアプリを直接操作してくれる「スクリーン オートメーション」などは、まだ日本語で利用できないようだ。

キーボード「Gboard」の新機能「AI音声入力」。音声で話した内容から「えー」などの無駄な要素を削除し、会話の意図をくんでより簡潔で正確な文字起こしをしてくれる

Pixel 11シリーズは多くのモデルが値上げしたとはいえ、他メーカーのスマートフォンで大幅値上げが相次いでいることを考えれば、上げ幅はかなり抑えられている。

それだけ日本市場での販売に力を入れていることは分かる。であれば、最大の特徴でもあるGemini Intelligenceの言語対応も、ハードウェアの発売に合わせて進めて欲しいと感じてしまうのが正直なところだ。

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