かんたんに迷惑撮影できるメガネを売りながら、取り締まるのは難しいでしょ

「変態メガネ」による迷惑動画投稿収まらず。Metaの取締り強化宣言も効果薄

Munenori Taniguchi

Image : Featureflash Photo Agency/Shutterstock

顔認識、生体認証、あらゆるデータを収集しようとする企業を前に、どうやって個人情報とプライバシーを守るかに人々が頭を悩ませるこのご時勢だが、近年は新たなプライバシー侵害ツールとしてスマートグラスが台頭してきている。

スマートグラスはそのフレーム部分にカメラを内蔵しているものが多く、写真や動画をハンズフリーで撮影できるようになっている。だが、使用者が撮影中であることを伝えなければ、周囲の人たちは自分が撮影されていることに気づくのが難しい。

また、そのような特性を悪用して、女性をしつこく口説くなどしてその嫌がる様子を盗撮し、許可なくInstagramやTikTokなどのSNSに投稿する行為が相次いでいる。

いまや、スマートグラスには侮蔑の意味を込めた「変態メガネ」という別の呼び方が普及しつつある。

Ray-Banなどの著名ブランドとの協業によってスマートグラス製品を製造販売しているMetaは先月、同製品を使った迷惑行為が世界的な問題になってきたことを受け、迷惑行為に対する取り締まり・禁止措置を強化すると宣言した。

しかし、その約束にもかかわらず、Metaが運営するSNSであるInstagramには依然としてスマートグラスによる迷惑動画が投稿され続けているようだ。

Business Insiderは、Instagramの利用規約/ポリシーに違反していると思われる「いたずら」行為の動画や強引な「ナンパ」の様子を収めた投稿動画を数十件特定したと述べている。そして、これらの動画に関してInstagramに報告した結果、程なくしてそれらは削除されたと伝えた。

Meta自身も、嫌がらせ行為を抑制する取り組みの一環として、同様のコンテンツを数千件も削除したと述べており、こうした動画によく関連付けられる「rizz」や「cold approach」といったハッシュタグもブロックされるようにしたという。さらには「ナンパ」動画を大量に投稿していたアカウント2件も削除した。

だが、そのようなMetaの取り組みは絶対的に足りていないのが実情のようだ。そもそもねずみ取りのように、取り締まり対象となるコンテンツが投稿されてから対処するやり方では、問題を完全になくすことは難しい。さらに、スマートグラスを使って撮影したとみられる同様のコンテンツは、Metaの手が及ばないTikTokやYouTubeなどにも投稿されている。

Futurismはこうした問題の特に悪質な例として、マークと名乗る変態メガネユーザーが英国の女性コメディアン、ダイアン・モーガンに詰め寄る様子を自ら撮影し、TikTokやInstagramに投稿した事例を紹介している。

動画では、マークはモーガンに突然電話番号を教えるよう詰め寄り、さらに「君を捉えたカメラを見たよ」「君はとても綺麗だと思った」などと続けた。そして、係員が制止しようとすると突然声を荒らげ「俺に触るな、さもないとただじゃ済まないぞ、いいか?」とのたまっている。

こうした動画はInstagramだけでなく、Metaの管理が及ばないTikTokやXといった他のSNSやYouTubeなどに簡単に拡散されてしまう。Futurismは、マークが女性グループに嫌がらせをする動画や、クルマの運転手に轢かれたなどと難癖を付け、跪かせて謝罪させるという当たり屋まがいの動画などを発見した。

これらは見るからに不快な映像だが、思わず再生してしまう類いの動画でもあるのだろう。そして、再生回数が伸びやすいのであれば、それで稼ごうと考える短絡的な「クリエイター」も現れるものだ。

Metaがいくら取り締まり強化を宣言したところで、Meta自身が迷惑動画を簡単に撮影可能なスマートグラスの販売を促進している以上は、このようなコンテンツはなくならないだろう。

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