ガルウィングドアは健在

EVになった新デロリアンが登場!約4.35秒でタイムスリップ速度に到達

Image:Delorean

米テキサスを本拠地とするデロリアン・モーター・カンパニー(DMC)が、4人乗りのスポーツEV「Alpha 5」を発表した。100kWhのバッテリーパックを搭載、0-60mph(0~96.5km/h)加速は2.99秒を謳い、目標の市販価格は17万5000ドルだ。

デロリアンと言えば、1980年代に映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズでタイムマシンに改造された、無垢のステンレスボディが特徴のスポーツカー「DMC-12」を想起する人がほとんどだと思われるが、DMC-12がウェッジシェイプを基本に当時の流行だった直線的なデザインであるのに対し、Alpha 5のスタイリングは公開された画像のカラーのせいか、ポルシェ・タイカンに似たものであるように見える。また上から見下ろした画像では、どことなくテスラの新型Roadsterに似ているようにも思える。

空力特性も意識したのか、なめらかなボディデザインになった(Image:Delorean)

ただ、デロリアンのアイデンティティともいえるガルウィング式のドアはこのAlpha 5にも受け継がれており、それを開けた姿はやはりDMC-12らしさを醸し出している。また、多段スリット形状のリアデザインも、往年のスポーツカーらしさがある。

大きく開くガルウイングドアは健在だ(Image:Delorean)

Alpha 5はEVであるため、エンジンはない。そのぶん内部空間は余裕が生まれ、乗車定員はDMC-12の2人から、Alpha 5では4人になった。

ただAlpha 5は、実際のところはオリジナルのデロリアンが1982年に倒産するよりも前に開発に着手していた4人乗り、ガルウィングドアを4枚搭載した「DMC-24」コンセプトからの影響が大きいようだ。なおAlpha 5のドアは前後両方のシートにアクセスできる大きなガルウィングドア2枚となっている。

Alpha 5のスペックを列記していくと、駆動用のモーターを2基搭載したデュアルモーターAWD仕様で、100kWhのバッテリーパックによってEPAサイクルによる航続距離は480km以上になるとのこと。全長は4995 mm、全幅は2044 mm、ホイールベースは2300 mm。

冒頭にも記したとおり、0-60mph加速は2.99秒だが、このクルマに限って言えば、加速力を示す値として適切なのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』においてデロリアンがタイムスリップ可能になる88mph(約142km/h)に到達するまでの時間かもしれない。資料によれば、Alpha 5は約4.35秒でそのスピードに達するとのことだ。そして最高速度は240km/hを超える見込み、とされている。

車内に目をやると、ステアリングの前方には幅広のデジタルメータークラスターが見える。またセンターコンソールにはタッチスクリーンと最小限の物理スイッチ類がある。全体にはスポーツカーというより、サルーンカーのような落ち着いた雰囲気だ。

落ち着いた雰囲気のコクピット(Image:Delorean)

フロントには細く鋭いライン状のヘッドライトが精悍なイメージを高めている。このラインはサイドに伸びてドアのプレスラインを構成し、さらに後方に移って左右を貫くテールランプに変わる。

左右を貫くテールランプも印象的だ(Image:Delorean)

現在のDMCのマーケティング部門を率いるTroy Beetz氏は「Alpha 5はデロリアンのこれまでの40年を表したものだ」と述べ、さらに「ブランドの歴史への敬意を表しつつ、未来も育んでいくという大きな責任をAlpha 5で追求し、実現できたと考えている」とした。

なお、DMCはこの新生EVデロリアンの実車を、8月に開催されるペブルビーチ・コンクール・デレガンスで公開する予定だと、The Vergeは伝えている。

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