【連載】山本敦の発見!TECH最前線 第14回
暑い夏に“圧倒的な風量”。ダイソン初のハンディファン「HushJet Mini Cool」を使ってみた

筆者は東京に住んでいる。2026年の夏は7月上旬まで涼しく過ごしやすかったが、10日前後から猛烈に暑くなってきた。今年は家電ブランド各社の涼感ガジェットの新製品が充実している。その中から今回は、イギリスのダイソンが初めて商品化した “ハンディファン” 「Dyson HushJet Mini Cool」の効果を体験した。
スマホなみのサイズ感。首かけにもできる
HushJet Mini Coolは高さ約18cm、幅は約3.8cm。質量は約212g。参考までにiPhone 17 Proは約206g、iPhone 17 Pro Maxが約233gなので、HushJet Mini Coolの質量はそれぞれの中間ぐらいだ。つまり、片手で持ちながら使えるサイズ感だと言える。
本体トップの「HushJetノズル」からパワフルな風を送り出す。ダイソンはヘアドライヤー「Supersonic」や扇風機「Cool CF1」に代表されるような、外から羽根が見えない独自のデザインと力強い風を特徴とする製品を展開してきた。
HushJet Mini Coolも一見するとハンディファンのように見えない。ダイソンの製品を使った経験がある方であれば、本機の強力な風を浴びた瞬間に「ダイソンらしさ」を直感すると思う。

本体には5,000mAhのバッテリーを内蔵している。5段階(+ブースト)の範囲で調整できる風量を、最も弱い「1」に設定した状態で、フル充電から最大6時間の連続稼働ができる。
設定や操作にモバイルアプリは不要。単体でシンプルに使える家電だ。本体の正面側に配置したボタンから電源のオン・オフと風量の設定、ブーストモードの起動まで片手で操作できる。充電端子はUSB-C。3時間でフル充電になる。

本体上部のノズルは向きを変えられる。正面からやや上向きに設定すれば手に持つハンディファンとして、またデスクに置いた状態でも快適に使える。付属の着脱式ネックストラップを取り付けて、ノズルを真上に向ければウェアラブルファンとして首にかけたまま涼しい風を浴びられる。


風量は魅力的だが動作音が大きい
本機の一番大きな魅力は「ダイソンのハンディファン」であることだと、筆者は感じた。羽根が見えない独自のデザインだけでなく、使い勝手までもがとても個性的なのだ。
送り出される風は文句なしにパワフルだ。1分間に最大65,000回転するブラシレスDCモーターを内蔵しており、スリムでコンパクトな筐体から想像もつかないほどの風を送り出せる。
本体の内部で風を冷やしてから放出する機能は備えていないので、得られる風の冷たさは環境に依存する。例えば暑い屋外では風も生暖かいので、風量は強めに設定したくなる。反対に、冷房が効いている部屋の中で使えば風量「1」でも身体に受ける風は冷たく、汗も早めに引く感覚がある。
だが、本機の課題は動作音が大きいことだ。風量が「2」を超えてくると、カフェなどの場所では隣に座る人にも音が聞こえてしまうほどに、動作音が響き渡る。
野球観戦の際にスタジアムに持ち込んでみたが、歓声に包まれる中でも風量「2」から「3」までが動作音の限界だった。風量「4」以上のパワーで使う場合は自宅、または屋外を歩きながらなど場所を選ぶ必要があった。仕事や勉強に集中したい時に使う場合も、動作音を静かめにして使うか、またはイヤホン・ヘッドホンを併用した。

もうひとつの課題は風の直進性が強いことだ。一般的な羽根を備えた扇風機型のハンディファンに比べ、狭い範囲に集中して風が当たる感覚が強い。デスクに置いて使う場合も、ノズルの先端を正確に自分の方へ向けなければ、十分な涼しさを感じにくい。ノズルの先端に装着し、風を広範囲に拡散できるディフューザーのようなアクセサリーがほしい。

ダイソン参入で涼感ガジェットは盛り上がるか
この時期に日用雑貨店やドラッグストアを訪れると、様々な種類のハンディファンが売り場を埋め尽くしている。価格も3,000円台前後のものが充実している印象だ。Amazonや楽天市場などのオンラインストアも同様だ。
HushJet Mini Coolの価格はオープンだが、市場では17,600円前後で販売されるケースが多いようだ。ハンディファンとしては高価な部類に入る。
近い価格帯の製品に目を向けると、海外メーカーではSharkNinjaのハンディファン「chillpill」が2万円台で販売されている。シャープからは今年、プラズマクラスターによる消臭機能を搭載したハンディファン「PJ-HS01」が登場した。こちらの直販サイトでの価格は9,900円(税込)だ。
パワフルな風でダイレクトに涼める即効性は高く、とにかく急いで顔の汗を引かせたい時にはHushJet Mini Coolが重宝する。チャージを繰り返しながら使えるので、乾電池を交換する手間が要らない点も魅力だ。
一方で、風量を上げた状態でもう少し動作音が抑えられないと、自宅以外の場所では使える環境がやや制限されてしまう。通勤電車の中やオフィスなどで、静かに汗を引かせたい場面ではソニーのREON POCKETシリーズがもっと良い選択肢になると思う。
とはいえ、ダイソンが涼感ガジェットのカテゴリに乗り出してきたことで、これから市場がさらに盛り上がるだろう。今年は猛暑に見舞われている欧州でも、HushJet Mini Coolが多くの引き合いを得ているようだ。ニーズを受けて、これからもダイソンが継続的にハンディファンを商品化してくれることを期待したい。
