【連載】山本敦の発見!TECH最前線 第9回
ソニーから2つの“着るエアコン”誕生!26年最新のREON POCEKTを徹底比較

ソニーの “着るエアコン” 、ウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET」シリーズは夏の定番デジタルガジェットとして親しまれている。2020年7月の一般販売開始から、今年で6年を迎えた。
最新のスタンダードモデルである「REON POCKET 6」が5月12日に発売された。これにより、2026年の現行ラインナップはフラグシップの「REON POCKET PRO Plus」、そして継続販売される「REON POCKET 5」を合わせた3つのモデルになる。
新機種であるREON POCKET 6(以下、RNP-6)が前世代のモデルからどのような進化を遂げたのか、そして最上位機種であるPRO Plusと異なる点を比較する。まだ夏本番前だが、実機によるインプレッションも報告したい。
前世代比で「マイナス2度の冷たさ」はホンモノだった
まず、RNP-6の最大の進化点は、冷却性能が前世代のRNP-5よりも向上したところにある。
本機にはソニーサーモテクノロジーが新規に開発した小型の「DUALサーモモジュール」を内蔵する。従来のスタンダードシリーズでは1個使い=シングルであったサーモモジュールを、2個搭載して冷感を高めるアプローチだ。2025年にソニーサーモテクノロジーが発売したフラグシップモデルの「REON POCKET PRO」から採用が始まった。
この進化により、前モデルのRNP-5と比較して最大で「マイナス2度の冷たさ」が体感できる。この数値はREON POCKETアプリから「SMART COOL」、または「SMART COOL↔WARM」のモードを選び、オプションを最もパワフルな「強冷」に設定した状態で、さらに室温は35度、身体を動かさず安静な状態でパフォーマンスを測定した結果であるという。

その実力がホンモノなのか、筆者も室温を35度に設定できるソニーサーモテクノロジーのデモ環境でRNP-6を体験した。
サーモロガーで計測を行ったところ、REON POCKETの冷却パネルが首もとの皮膚に触れている体表面温度は、RNP-5が23度近辺を往来していたのに対して、RNP-6は21度前後まで下がる。
この「マイナス2度の差」は瞬間最大風速的に打ち出せるだけでなく、改良された独自のアルゴリズムにより、体感的な涼しさが「持続する」ところに重要な意味がある。もちろん21度近辺を常時キープできるかどうかは使用環境にも依存するが、RNP-6の底力が高まっていることは間違いない。


商品コンセプトに沿ってパワフルに、効率よく冷やす
DUALサーモモジュールの中核を担うのは、30mm四方のペルチェ素子を2つ組み合わせた冷却機構だ。消費電力を抑えながら、効率よく冷却できる設計としている。
放熱機構もブラッシュアップされた。RNP-6では、RNP-5には搭載されていなかったベイパーチャンバーを新たに採用し、冷却効率を高めている。ペルチェ素子から発生する熱を逃がす冷却ファンやヒートシンクは、従来通り搭載する。

バッテリー容量はほぼ変わらないものの、新モデルの「6」では、同じ環境下でRNP-5よりも高い冷却効果を発揮することにコンセプトを振り切った。そのため、連続稼働時間はRNP-6の方がやや短くなっている。
一方ではチャージICの変更により、充電速度はRNP-5よりも約1.5倍高速化された。目安として約60分で約80%まで充電できるため、外出前の準備時間や移動中の時間を活用して、バッテリーを補いやすくなっている。
本体からアクセサリーまで洗練されたデザイン
本体のデザインも大きく変わった。2枚のペルチェ素子で冷やす(冬場は温める)仕様となったこともあり、本体はRNP-5よりも縦に長く、スリムになった。「くの字」に折り曲げたような形になったことで、冷却パネルが首もとの皮膚にぴたりとフィットして、冷感が無駄なく身体に伝わる。
ボディは側面や角に丸みを持たせた、柔らかな印象に仕上げている。RNP-6の本体カラーはライトグレー。RNP-5に比べると少しベージュに近い。ソニーのワイヤレスヘッドホン「WH-1000MX6」のプラチナシルバーによく似ていると思う。この色調は白いワイシャツの下に着用した際にも透けにくいので、ビジネスウェアとの相性が良さそうだ。
装着感を左右するネックバンドも大きく改良した。REON POCKET 6のネックバンドには、PRO Plusで先行導入された「アダプティブ・ホールドデザイン」が採用されている。
内部にメカニカルフレキシブルチューブを組み込むことで、首まわりのサイズが28cmから46cmまで、幅広い体型に対して自由な角度調節と高い保持力を両立させた。バンドの先端にはシリコン製のサポーターが付けられていて、先端が鎖骨付近に触れる際のストレスを解消してくれる。

さらに、冷却ファンによる排気効率を高めるエアフローパーツも、伸縮と角度調節が可能な「アジャスタブル」仕様に進化した。
エアフローパーツを本体のトップに装着した後、襟元の高さや形状に合わせて排気口のポジションを伸ばし・曲げることができる。衣服が排気口を塞いでしまうと冷却効率が大幅に低下してしまうので、エアフローパーツは着こなしに合わせて上手に選び、使いこなしたい。

操作性の面では、本体側面にダイレクト操作が可能なボタンが新設された。これにより、スマートフォンを取り出して「REON POCKET」アプリを操作できない状況でも、本体の電源オン・オフやモードの切り替え、レベル選択などメイン機能の操作が可能になる。

2つの新しいREON POCKET。それぞれどんな人におすすめ?
REON POCKET 6と、フラグシップモデルのREON POCKET PRO Plusの違いについても深掘りしよう。2つのモデルは、想定される使用シーンとそれに基づく性能の「バランス」が大きく異なっている。
PRO Plusは、真夏の厳しい暑さの中でも、1日を通して強力な冷却パワーを発揮することを重視したモデルだ。一方のRNP-6は、通勤時間帯など素早く手軽に涼しさを得られるようポータビリティを優先しながら、PROシリーズに次ぐ冷却性能を備えたモデルとして位置づけられる。
冷却パワーにおける優位性はPRO Plusにある。前述の室温35度環境での比較において、RPN-6が到達できる体表面温度の冷却ピークは21度前後であるのに対し、PRO Plusはさらに低い20度から19度をあたりまでグッと冷える。

バッテリーの持続時間についても差異が存在する。RNP-6は冷却パワーを強化した代わりに、連続駆動時間がRNP-5よりも若干短くなっている。
参考までに、マニュアルの「COOLモード」で冷却強度を「レベル4」に設定した際の駆動時間はRNP-6の約5.5時間に対して、PRO Plusは約10時間。RNP-5は約7.5時間になる。PRO Plusは強力な冷却能力を維持しながら、より長い時間に渡って冷やし続けることを前提とした設計になっている。
さらにRNP-6が魅力的な点は、男女を問わずより幅広いユーザーが快適に身に着けられるサイズ感だ。
RNP-6の販売価格は、いずれもオープン価格になるが、ソニーサーモテクノロジーのウェブ直販サイトの価格はREON POCKET TAG 2が付属しない本体のみのパッケージが25,300円(税込)、TAG 2を付属するキットは27,500円(税込)としている。
でも、実はPRO PlusにTAG 2が付属するキットは29,700円(税込)で販売されているので、RNP-6との価格差はあまり大きく開いていない。もしソニーストア等で実機を試せる機会があれば、試着も念入りに行ったうえで、自身の期待と体格に合う方のREON POCKETを選びたい。
もうひとつ興味深い点として、2024年モデルであるRNP-5がラインナップに残されていることを挙げたい。冷却パワーにおいては最新のRNP-6やPRO Plusに及ばないものの、バッテリー持続時間を最優先にしたいユーザーにとっては、RNP-5を選択するという合理的な余地が残されている。
REON POCKET TAG 2は必要?
最後に専用アクセサリーのREON POCKET TAG 2についても触れておく。この外部センサーをREON POCKETシリーズに連携させると、直射日光の検知ができるようになる。
空調システム等により室温が整えられている環境であっても、オフィスなど窓際のように陽射しの強い場所で一定時間過ごさなければならない場面では、衣服の中に身に着けて使うREON POCKET単体では適切な温度調整ができなくなる。衣服の外の温度環境をモニタリングできるTAG 2を併用すれば、より正確で心地よくクールダウンができる。

モバイルアプリにTAG 2をペアリングしておけば、Apple Watchのアプリからでも気温と湿度の計測値が確認できる。
TAGは2023年モデルのREON POCKET 4と同時に発売された専用アクセサリーだが、電源であるボタン電池CR2032を交換すれば長く活用できる。TAG 2も同じCR2032を電源としながら、従来比で約18%の小型化を実現。ストラップホールに付属するカラビナを付けて、バッグなどに簡単に着脱できる。バッテリートレイは、タグの側面にある小さなボタンを押しながら引き出して空ける仕様だ。
2026年モデルのRNP-6とPRO Plusにも初代のTAGをペアリングして使える。REON POCKETの本体のみをアップグレードしたい方は、TAGなしの本体のみを購入するという選択があることも覚えておきたい。
