プライバシー情報の扱いで物議を醸してきたMetaだけに

プライバシー懸念、“常に録音と撮影”するAIグラスをMetaが試験中

多根清史

Image:JLStock/Shutterstock.com

Metaが、常時録音・常時撮影を行う「スーパーセンシング」スマートグラスを試験中だと英Financial Times(FT)が報じている。装着したユーザーは、そうして取得された音声や画像についてMeta AIに質問できるようになるという。

ただし、画像や音声そのものがユーザーに直接提供されるわけではない可能性がある。Financial Timesは、このデータの利用方法の一例として、「音声や画像からメタデータを抽出してサーバーへアップロードし、MetaのAIがそれを照会する仕組みになる」と説明している。Meta社内の推進派は、この方法であればプライバシーへの影響を抑えられると主張しているとのことだ。

このスマートグラスや機能が実際にリリースされれば、重大なプライバシー上の懸念を招くことは避けられない。Metaはすでに顔認識機能を開発していると報じられたことで厳しい監視の目を向けられているほか、グラスを装着したユーザーが女性を撮影していたとの報道からも反発を受けている。

その一方で、Metaは録画中であることを示すLEDインジケーターを無効化する有料改造サービスを提供する業者への対応にも追われている。同社は今週初め、LEDインジケーターの改造をグラスが検知した場合、カメラを無効化するアップデートを展開すると発表した。

しかしFTによれば、Metaは現在、「スーパーセンシング」モードではLEDインジケーターを点灯させない方向で検討しているという。

同社は2025年7月のホワイトペーパーで、LEDインジケーターはユーザーが写真や動画を保存する「アクティブキャプチャー」の場面でのみ使用し、メニューの読み取りのような「AI機能」の利用中は点灯させない方針を示していた。その理由として、ユーザーがインジケーターの点灯に慣れ過ぎてしまうことを避けるためだとしている。

またMeta社内では、取得したデータをAIモデルの学習に利用するかどうかについても議論が進められているという。さらにFTによれば、「スーパーセンシング」機能は、すでに発売済みのスマートグラスにも提供される可能性があるとのことだ。

Metaの広報担当者Dave Arnold氏はThe Vergeへの声明で、「社内の試作機についてコメントはしないが、当社はグラスを正しく作り上げることに全力を尽くしている。なぜなら、装着する人だけでなく、その周囲の人々にも受け入れられる必要があるからだ」と述べた。

さらにArnold氏は、「当社のアプローチは、プライバシーを設計段階から組み込みながら、人々の日常生活を支援する新技術を開発することにある」と付け加えている。

Metaは、常時周囲を認識するスマートグラスの構想をこれまでも隠してはいない。例えば、マーク・ザッカーバーグCEOは2026年第1四半期決算説明会で、「グラスが質問に答えるだけの存在から、一日中ユーザーに寄り添い、物事を覚えるのを助け、目標達成を支援するパーソナルエージェントへと進化していくことを非常に楽しみにしている」と語っていた。

また同社は3月、新たなRay-Ban Metaグラスに関するブログ記事で、「今後もソフトウェアアップデートを重ねることで、グラス上のMeta AIは、その都度質問を投げかける必要があるものから、一日を通して支援する、より継続的で、その場に応じたアシスタントへと移行していく」と説明している。

確かに、一日中ユーザーのライフログを記録し、それを基にAIが質問へ答えてくれる仕組みは便利だろう。しかし、そのデータの預け先が、プライバシー情報の扱いを巡ってたびたび批判を浴びてきたMetaであることが、今後も議論を呼びそうである。

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