スマートグラスで動画を見ながら運転してはいけません

スマートグラス着用時の運転が違法化へ、米イリノイ州で議会通過。知事が承認すれば初の事例に

Munenori Taniguchi

Image:Akarat Phasura/Shutterstock.com

Metaをはじめ、いくつかの企業は近年ARスマートグラスに力を入れている。新しいモデルほど、装着したときの外見的な違和感もなくなりつつあり、世の中の抵抗も薄れつつあるようだ。

ただスマートグラスは、使用者のモラルに応じて簡単に悪用することもできてしまう点が問題であり、これまでに内蔵カメラで女性を盗撮して同意なくSNSにアップロードしたり、学生がカンニングに利用したりといった問題が話題になった。

さらに実例はないものの、法廷に傍聴者として持ち込んで陪審員を撮影し、身元を特定して脅そうとする可能性があるとの指摘もある。

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そんななか米イリノイ州では、ドライバーによる運転中のスマートグラスの使用を違法とする法案が可決され、現在州知事の承認待ちという段階に来ている。承認されれば、イリノイ州は運転中のスマートグラスの使用を明確に禁止する最初の州ということになる。

この法案が成立すれば、車のインフォテインメントシステムを介してBluetoothで使用できる携帯電話とは異なり、同州内では車内でのスマートグラス使用はあらゆる場合において禁止されることになる。

法案では「運転中の電子通信機器の使用に関する例外規定は、ハンズフリーまたは音声操作モードで電子通信機器を使用する場合、あるいは通常の交通が妨げられているために車両が停止しており、かつ運転者が自動車の変速機をニュートラルまたはパーキングの位置に設定している場合における、AIスマートグラスの使用には適用されない」と記されている。

要するに、ハンズフリーまたは音声アシスタントによる操作で使用する分にはドライバーが車内でスマートフォンを利用しても良いとしており、後半部分では、信号や渋滞などで車両が停止しており、シフトがニュートラルまたはパーキングに入っている場合には、AIスマートグラスを使用しても良いとうたっている。逆に言えば、それ以外のシチュエーションでは車載以外のいかなる機器も使用できないということだ。

スマートグラスにはナビゲーション機能(通常は歩行者用だが)を備えるものもあり、運転中にそれが使えれば視線移動が少なくなって便利だと主張したくなる人もいるかもしれない。しかし、視界の中であろうが外であろうが、運転中に何かを集中して見ることは前方不注視状態を引き起こすことになる。

視界中の地図を見ていて赤信号に気づかなかったり、人が横断しているのに気づかなかったりして、人身事故を起こしてしまっては元も子もない。

イリノイ州の法案では、違反で発生する罰金は75ドルからで、再犯の場合は150ドルの支払いが科される。さらに、スマートグラスを装着していて重大な交通事故を起こせば、軽犯罪または重罪で起訴される可能性もあるとされる。まっすぐ前を見ているのに前方不注視状態を生み出してしまう。

しかし、まさにこの状態を意図的に作り出そうとしているのがAmazonで、配達ドライバーの前方視界にナビゲーション情報を重ねて表示するスマートグラスを開発している。MetaのRay-Ban Displayにも同様のナビゲーション表示機能がある。Metaは運転中の使用を推奨していないが、禁止しているわけでもない。

今回の法案がイリノイ州で承認されれば、同様の禁止措置を採用する州や地域、国は増えていくかもしれない。何事も安全第一で考えることを忘れないようにしたいものだ。

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