「不可避だと見なしてはならない(言語の)劣化」として

フランス政府、“eスポーツ”など英語由来のゲーム専門用語を公式に禁止

Image Credit:by Sergey Galyonkin is licensed under CC BY-SA 2.0.

早くからゲーム界隈では「ゲーマー」など英語由来の専門用語が定着しており、日本をはじめとした世界各国でも事情は似ているようだ。が、フランス政府は「ストリーマー」や「クラウドゲーミング」といった英語由来のゲーム専門用語を公式に禁止したことを発表した。

仏AFPによると、フランス語の保存と純化を目的とするアカデミー・フランセーズ(国立学術団体の1つ。1635年に宰相リシュリューが設立)は2月、「不可避だと見なしてはならない(言語の)劣化」につき警告を発したとのこと。その中では「ビッグデータ」や「ドライブイン」といった直訳の外来語(英語)も取り上げられていたという。

これを受けて5月31日(現地時間)、フランス当局は英語由来のゲーム用語を禁止することを官報に掲載した次第だ。今後、公務員は「クラウドゲーム」や「eスポーツ」という英語は使えず、代わりに例えばストリーマー(配信者)は「joueur-animateur en direct」、クラウドゲームは「jeu video en nuage」といった複雑な用語に代えることを義務づけられる。

この決定に関与したフランス文化省はAFPに対し、ビデオゲームの分野では非ゲーマーにとって「理解の障壁」になりうる英語主義に満ちていると語っている。さらに専門家がビデオゲームのWebサイトや雑誌を検索し、フランス語の用語が存在するかどうかを確認した、とも付け加えている。その主な狙いは、国民がより簡単に(ゲームについて)コミュニケーションできるようにすることだそうだ。

上記のアカデミー・フランセーズは早くからビデオゲームに英語が広まっていることに懸念を示しており、2017年にフランス語の代替用語の辞書を発表している

その試みは現地メディアTheLocalFranceによれば、「Wi-Fi」の代わりに「l’access sans fil à internet」を使わせようとしたときと同じく失敗したという。が、嘲笑や無関心に晒されながらも繰り返された言語純化主義の努力は、今後も続けられそうだ。

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