「低評価攻撃」への対策か

米Amazon、コンテンツへのユーザーレビューに72時間の掲載保留措置。『力の指輪』配信と前後して

Image:Amazon Studio

米Amazonは、期待のオリジナルドラマ『ロード・オブ・ザ・リングー力の指輪ー』配信を開始した。それと前後して、すべてのコンテンツに対するユーザーレビューが、投稿から3日間、掲載を保留されるようになったことが伝えられている

エンタメニュースサイトVarietyなどが伝えたところでは、この掲載保留措置は、特定の映像作品またはゲーム、書籍に対し否定的なレビューコメントを集中的に投稿する「低評価レビュー攻撃」を防止するため、段階的に導入されているとのこと。

Amazonの担当者は、今回の措置はレビュー欄への投稿が、その場を乗っ取ろうとするボットや荒らし投稿でなく、真っ当な視聴者からのものかどうかを評価する時間をサービス側に与えるためだと述べている

ただ一部の人々からは、Amazon渾身の作品である『ロード・オブ・ザ・リングー力の指輪ー』に、悪意ある投稿が嵐のように押し寄せるのを避けるための戦術ではないかとの意見もあるようだ。

Amazonプライム・ビデオでは1992年の映画『プリティ・リーグ』のリブート作となるオリジナル制作ドラマが8月12日より配信を始めたものの、オリジナル作品当時にはなかった多様性への対応要素を盛り込んだことに対し、一部視聴者から批判的なコメントが大量に投稿される問題が発生した(その後、肯定的な評価も多数投稿されている)。

今回の新作『ロード・オブ・ザ・リングー力の指輪ー』は、ピーター・ジャクソン監督の映画三部作よりも前の時代、中つ国の第二紀を描いた作品で、Amazon によると配信初日に全世界で 2,500 万人が視聴、Amazonプライム・ビデオ過去最大のスタートダッシュを決めた作品になっている。

一方で原作の読者や映画版に思い入れの強いファンも多いことが予想され、エルフやドワーフといった中つ国の人々に有色人種の俳優を含めて起用していることなどに対して、一部ファンからは不満の声も聞かれていたとのこと。

ただ、Amazonが自社サイト内でのレビューに対処したとしても、Rotten TomatoesやIMDbといったサイトへの視聴者の書き込みを妨げることはできず、一般の視聴者による評価は、Rotten Tomatoesで34%(評論家評価は84%)、IMDbでは10段階中1の評価が全体の24.5%を占める状況になっている(ただし星5つの評価も32.8%ある)。

ちなみに、このようなレビューについては、映画やドラマ作品が公開、配信を開始してもいないにもかかわらず書き込む人がいる問題などもある。過去には『ブラックパンサー』や『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』などで公開前に低評価が相次ぎ、Rotten Tomatoesなどでは、こうした問題への対応が行われている。

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