ここまで自由度が高いとは想定外

アップルとGoogleのAI提携、詳細が判明。Gemini蒸留でオンデバイスAI強化か

多根清史

Image:Mamun_Sheikh/Shutterstock.com

アップルはGoogleのGemini AIモデルを、今年後半にリリース予定の強化版Siriに活用することを発表済みであるが、それ以上の詳細は明かしていない。そうした両社のAI提携について、従来伝えられていた以上に「深い連携」が進んでいると報じられている。

ニュースメディアThe Informationの最新「AI Agenda」コラムによれば、アップルは「予想されていたよりもはるかに大きな自由度でGoogleの技術を扱える」という。自社のデータセンター設備内でGeminiモデルへの完全なアクセス権を有しているとのことだ。このアクセスにより、アップルはGeminiを “教師モデル” として扱い、アップル製デバイス上でも動作する小型の “学生モデル(distilled models)” を生成できると伝えられている。

こうした手法は一般に「蒸留」と呼ばれ、巨大なLLM(大規模言語モデル)が持つ知識を、小型かつ効率化されたモデルに転移するプロセスである。小型モデルは必要とする計算資源が少なく、オンデバイスでの動作に適しており、より高速に実行できる利点がある。

アップルは蒸留により、単にGeminiの出力を“模倣”するだけでなく、Geminiがどのように答えを導くかという内部の計算プロセスまで学習させることで、iPhoneやMacといった限られた計算資源でも、最先端の「教師モデル」に近い性能を再現できるとしている。

とはいえ、The Informationの情報源は、このプロセスが容易ではないとも指摘する。アップルがSiriに設定した目標が、必ずしもGeminiの得意分野と一致するとは限らないためである。

一方で、アップルの自社開発AI「Apple Foundation Models(AFM)」が放棄されず、引き続き開発が進められていることも改めて確認されている。ただし、このAFMチームの現在の目標については、依然として不透明である。

最後に同レポートは、アップルが今年6月のWWDCで大幅に刷新されたSiriを発表するとの見方を裏付けている。新たなSiriには「ユーザーとの過去の会話を記憶する能力」や、「空港での送迎に備えて渋滞を回避するため、出発を促すようなプロアクティブ(先回り提案)機能」が含まれる見込みである。

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