合体しても格好良くならない系ロボ

AIで進化する合体分離モジュール式「脚付きメタマシン」の動きがキモい

Munenori Taniguchi

Image:Northwestern University

米ノースウェスタン大学工学部の研究グループが、合体分離可能なモジュール式歩行ロボットを開発した。研究者らはこれを「脚付きメタマシン」と呼んでいる。

このロボットは、モジュール単体では関節となる球体から、2本の棒が突き出たような形状をしている。その内部にはモーター、バッテリー、コンピューターを備えている。

これだけでも単独で転がったり、旋回したり、ジャンプしたり、地面をのたうつようにして移動できる。だが、複数のモジュールを接続すれば、これらのメタマシンはAIの学習能力によって進化し、アザラシのように波打ったり、トカゲのように走ったり、カンガルーのように跳ねたりと、より複雑な動きを可能にする。

あらゆる動作を可能とするために、研究者はAIを用いてこの斬新な形状をデザインした。AIはよくある四脚ロボやヒューマノイドタイプに固執せず、人間にはなかなか思いつかないような、奇妙な外観と動きを持つ新種ロボットを生み出した。

このロボットは基本的に、複数のモジュールを組み合わせて使うことが想定されている。迅速に組み立てることができ、すぐに活動を開始させることが可能だ。そして、整地されていない自然環境を自由に動き回ることができる。

ロボット犬やヒューマノイドなら、自動車事故に遭って脚が1本折れてしまえば、もう歩くことはできない。だが、この「脚付きメタマシン」なら、仮に何本かの歩行脚を備えた形態のときにいくつかの脚を失う状況に陥っても、AIがそのときの形状に適応する新たな移動方法(這う、転がるなど)を考案し、目的の場所に向かうことを可能にする。また、折れてはずれた脚のほうにも、関節部分さえ動作すれば自ら動き回れる可能性が残される。

研究者らは、この「脚付きメタマシン」が、シミュレーションの世界から現実世界に移行した初の進化型ロボットだと主張している。このようなロボットを設計する研究分野は進化型ロボティクスといい、開発者はロボットの動作をプログラムするのではなく、ロボットの進化のルールを設計しプログラムすることで、ロボットが自らその動作を状況に適応するよう進化していく。

ただ現状では、まだこのロボットは何かに役立ったり、与えられた仕事をこなしたりすることはできないと開発者らは認めている。

この技術はまだ開発初期段階であり、ロボットは障害物を認識したり、周囲の状況をマッピングしたりする能力を備えていない。従って、歩行することはできても自らがどこへ向かっているかは把握していない。ロボットは自身の向き(上下の検出や動けるか否か)や、各モジュールの位置を検出できるが、実世界の作業に必要な認識能力をまだ搭載していない。

映画『ベイマックス』には、無数の小さな棒状のロボットが合体して、自在な形態を取ることができる「マイクロボット」が登場する。今回の「脚付きメタマシン」は、やや見た目の洗練度に劣るものの、将来のマイクロボットにつながる生存可能性を秘めているかもしれない。

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